【熱が出たからってすぐ解熱鎮痛薬はダメ!】発熱の仕組みと解熱薬の選び方 | セルフメディUP 登録販売者が教たい自分に合った市販薬の選び方

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ドラッグストアの医薬品・日用雑貨をテレビCMや広告のイメージだけで選んでいませんか?かぜ薬ひとつ取っても配合成分はさまざま。商品選びはまず成分表示から!登録販売者が正しい選び方についてご紹介しています。

急な発熱や38℃を超えるような高熱ってホントつらいですよね?


カラダがだるくなったり、頭がボーっとしたり...


発熱はなぜ起きるのでしょう?


わたし達のカラダの中では、一体何が起こっているのでしょうか?


今回は、発熱が起こる仕組みと

市販薬で対処できる発熱、そしておくすりの選び方をご紹介致します。



発熱はカラダを守る防御反応


発熱自体は病気ではありません。


熱は病気などによって引き起こされる症状のひとつです。


通常、わたし達のカラダは一定の体温に保たれています。


過度な運動をしない限り、

日常生活で、ものすごく体温が上昇することは少ないでしょう。


ですが、カラダが弱っていたりすることで、

細菌やウイルスがカラダに侵入し感染しようとすると熱が出てしまいます。


これは、細菌やウイルスなどの外敵から

カラダを守ろうとする防御機能が働いているからです。


カラダのエネルギーを使い熱を放出し、

風邪などのウイルスを外に出そうと戦っているのです。


まるで、クルマやパソコンなどの機械のようですね。


クルマもエンジントラブルが起きるとオーバーヒートしてしまいますし、

パソコンなどの機械類もたくさんの仕事をさせたり、

重たいアプリを使っていると高温になってしまいます。


カラダも使い過ぎたり、何か異常が起きると

熱を出して危険な状態だということを

わたし達に知らせてくれているのです。



熱や痛みの犯人はプロスタグランジン


月経痛(生理痛)の記事でお話した

ホルモンに似た働きをする物質「プロスタグランジン」


このプロスタグランジンが、熱や痛みを引き起こす原因物質なのです。


病気やケガをすると、体内でたくさんのプロスタグランジンが作られます。


プロスタグランジンの産生が活発になると

カラダの各部位に発生した痛みが脳に伝わり、痛みを増強させます。


また、「温熱中枢」と呼ばれる脳にある体温を調節する場所に

プロスタグランジンが作用して、

平常時より高く体温が設定されるという仕組みになっています。


このプロスタグランジンの産生を抑制させれば、

痛みがおさえられ、熱も下がるというワケです。


一見、プロスタグランジンは痛みを増幅させ、

体温を上昇させる悪者に見えるかもしれません...


しかし、プロスタグランジンはカラダを外敵から守るため戦っていたり、

胃では胃粘膜を保護する粘液の分泌を促し、

荒れた胃を修復させようとする働きがあります。


うとまれる奴ほど実はウラでよく働いてくれているのです。



発熱時の解熱鎮痛薬の選び方


ポイントは年齢制限です!


解熱鎮痛薬の成分の中には、年齢制限があるものがいくつか存在します。


発熱は子どもから大人まで起こる、病気を知らせる症状です。


15歳以上から使用できる成分と、15歳未満でも使用できるものがありますので、

まず使用される方の年齢を考えて成分を選びましょう。


子どもから大人まで使用できる解熱鎮痛成分は、

「アセトアミノフェン」というものです。


アセトアミノフェンは15歳未満の小児でも服用できます。


また、アセトアミノフェンは他の解熱鎮痛成分に比べて、

胃腸障害がほとんどないとされているので、

胃が弱い大人にもオススメできます。


それ以外の大人には、「アスピリン」「イブプロフェン」が使用できます。


アスピリンやイブプロフェンには、

熱さましの効果以外に「抗炎症作用」があります。


かぜによる発熱と同時にのどの痛みがある場合や、

熱を持ったケガの痛みには、

アスピリンやイブプロフェンは効果的です。


アスピリンやイブプロフェンで効果を感じられない場合は、

ピリン系の「イソプロピルアンチピリン」

市販薬最強の解熱鎮痛成分「ロキソプロフェンナトリウム」の入った

解熱鎮痛薬を試していただけたらと思います。



服薬時のアドバイス


熱が出るのは、体内でかぜのウイルスなどと戦い防御機能が働いている証拠です。


熱が出ているからと言って、

何でもかんでも解熱鎮痛薬を使って熱を下げようとしてしまうと

防御機能がうまく作動しなくなり、逆効果になります。


どうしても我慢できないくらいツライ場合にだけ、一時的に利用しましょう。


また、インフルエンザや他の病気で起こる発熱は、市販薬の対象外です。


インフルエンザのような40℃近い高熱を出す病気は限られているので、

これに近い体温の上昇があった場合は、

かぜ以外の病気かもしれませんので、病院に行ってください。



解熱鎮痛薬を使わず熱を下げる方法


家庭で出来る熱を下げる方法には2種類あります。


1つ目は「カラダを冷やす」

2つ目は「カラダを温めて汗を出す」



1つ目の「カラダを冷やす」場合は、

脇の下など大きな血管が通っている部位を冷やしましょう。


みなさん熱が出たとき、

おでこを冷却シートや氷のうで冷やしがちなのではないでしょうか?



実はあまり効果がありません...


それより、大きな血管が通っている箇所(頸動脈など)を冷やした方がいいのです。


具体的には、脈拍の取れる場所(こめかみ、首周り、手首、ひざの裏、太ももの内側、足首など)

冷たいタオルや冷却シートを貼る方が冷やされます。



2つ目の「カラダを温めて汗を出す」場合は、


部屋を暖かくし、厚着をしてカラダの温まるもの(しょうが湯など)を食べて、

自然に汗が出る環境を作りましょう。


体温が上昇すれば、カラダの中で熱を下げようとして発汗します。


しかし、汗が出てそのままにしておくと、

カラダが冷えすぎて余計かぜをこじらせてしまいますので、

汗をかいたらすぐに新しい服に着替えましょう。


かぜをひいた場合、発熱による発汗や下痢で脱水症状になる危険性があります。


小まめに水分補給することも大事なので、覚えておいてください。


脱水時の水分補給には、水分だけでなく塩分も必要です。


ミネラルウォーターではなく、スポーツドリンクや経口補水液を飲みましょう!




熱や痛みはカラダの異常をわたし達に知らせるシグナルです。


熱や痛みが感じられないとその警告を察知することができません。


カラダのトラブルに早めに気づき、休養をしっかり取って早く治しましょう!