YouTubeチャンネル「高橋和夫&小沢知裕ルーム」が更新されました。
高橋和夫&小沢知裕ルーム
『#236 イラン情勢更新 ― 維持は可能か?停戦合意』
https://www.youtube.com/watch?v=XkxT_BwnLDk
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出版元の承諾を得て以下の拙文をアップします。
「キャラバンサライ(第174回)アメリカの対イスラエル援助」、
『まなぶ』(2026年7月号)、38~39ページ
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毎年アメリカは、日本より、ずっと豊かな国に巨額の援助を与えている。しかも、長年にわたって。そんな国が存在するだろうか。そうした国がじっさいに存在している。イスラエルである。
日本の2024年の一人当たり名目国内総生産(GDP)は3万3785 ドルだ。ところが日本の外務省のホームページによれば、イスラエルの一人当たりの所得は5万2262ドル(2023年)だ。この豊かな国に毎年、毎年、長年にわたり、アメリカから天文学的とも思えるほどの額の援助が与えられている。
1948年の建国から現在までにアメリカがイスラエルに与えた軍事・経済援助の総額は3千億ドルという途方もない数値だ。1ドルを1 50円で換算すると45 兆円になる。年額で見ると、2002年に38 億ドルが供与された。日本円で5700 億円だ。イスラエルの総人口が1千万人ほどなので、国民一人当たり5 万7千円になる。この額が毎年アメリカの納税者からイスラエルに与えられていた計算になる。
ところが2023年にガザのハマスとの戦争が始まると、この額がさらに膨らんだ。しかも3倍以上に。翌24 年の供与額は123億8千万ドルに達した。財政赤字のアメリカによる巨額の援助だ。
この背景にあるのは、ワシントン で行われているアメリカの親イスラエル勢力による強力なロビー活動だ。つまり働きかけだ。
それを支えたのは世論の強いイスラエル支持だった。アメリカ国民は圧倒的にイスラエルを支持してきた。それが2000年代に入って変わり始めた。民主党の支持者層の中でもみずからをリベラルだと考える人々の間で、パレスチナ人に対する支持がイスラエル支持を上回り始めた。2016年の大統領選挙の予備選挙のテレビ討論会で、バーニー・サンダース上院議員がイスラエルの政策を激しく批判した。討論の相手は本命視されていたヒラリー・クリントンだった。結局はヒラリーが民主党の候補者となった。また、本選挙でドナルド・トランプに敗れた。それでも、民主党の候補者指名を競うほどの大物政治家が、公然とイスラエルを批判した事実は深い印象を残した。その後もアメリカ世論は、イスラエルへの支持率を下げ、パレスチナ人への同情心を高めた。
そして2023年の世論調査では、ついに民主党支持層の間でのイスラエル支持とパレスチナ支持が逆転した。さらに、この年の10 月にガザのハマスによるイスラエルに対する奇襲があった。報復として、イスラエルはガザに対して激しい攻撃を加え、7万人以上ものパレスチナ人を殺害した。そして、その生々しい映像がSNSで直接にアメリカの若者のスマホに届いた。
これが、さらにイスラエル支持を切り崩した。とくに若い年齢層の間で。そして、とうとうアメリカ人全体でも、現在ではパレスチナ支持がイスラエル支持を超えている。唯一イスラエル支持がパレスチナ支持を上回っている層は、共和党支持者だけだ。しかしながら、その中でも、若者層の間ではイスラエル支持が低下しつつある。
こうした世論の動きが政治家の言動にはね返り始めた。イスラエルへの援助を停止しようとの声が出てきたのだ。まだ、それは援助の流れを止める力とはなっていない。だが、そう遠くない未来に、イスラエルへのいまのレベルでの援助の供与はむずかしくなりそうだ。
こうした状況を先取りするかのように、5月10 日、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が、アメリカのCBSテレビとのインタビューで、受け取る援助を段々と削減して10 年以内にゼロにしたいと述べた。
といって、イスラエルは援助の受け取りをあきらめようとしているわけではない。イスラエルはアメリカとの軍事技術の共同開発などを提案している。共同開発となると、いくらイスラエルが受け取っているのか目立たなくなる。イスラエルに対する政治的な逆風を弱めようとのたくらみだ。いずれにしろ、アメリカ世論の変化が、イスラエルに新たな対応を迫っている。
-了-
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『#234 イラン情勢更新 ― 中東情勢を左右する米選挙の行方』
https://www.youtube.com/watch?v=QC9go7d-adI