高畑監督が亡くなっちゃいました。一番好きな漫画映画(アニメとは言わない)作家だっただけにショックです。
有名な話ですが、高畑監督は労働争議で会社(東映動画)を追い出されていて、一時共産党員でもあり赤旗を購読し続けた人です。コミュニズムがどうかという評価は保留しますが、「理想」と言う物があると信じていた人であったことは間違いないと思います。
日本のコミュニズムは最後は連合赤軍事件みたいな大惨事になって結果的にポシャっちゃったけど、「理想」を共有できたあの時代は、「理想」無き世界を生きてる人間として正直羨ましいと思ってます。
「理想」を共有して連帯できたあの時代のパワーみたいなものは確かにあって、それは皮肉にも高度資本主義社会構築の原動力になったと思ってます。今は明確な「理想」を共有出来ないから、それが社会に元気が無くなっちゃった一因だとも思う。
高畑監督の生涯を賭けたメッセージは、
「理想」と言う物は確かにあって、それは日常生活でこそ実現されるべきである。
と言う事だと勝手に理解しています。
だから「理想」は高邁過ぎて非現実的じゃダメで、日常生活で実践出来るような物であるべきなんですよ。これはコミュニズムに対する高畑監督なりの反省点だと思う。
高畑アニメを見る人にはちょっと意識して観て欲しいです。
高畑監督の遺作は「かぐや姫の物語」ですが、これは「となりの山田君」を気に入った故氏家齊一郎元日テレ会長(やっぱコミュニスト)に懇願されて作ったらしいから、実質的な遺作は「山田君」と思ってます。その「山田君」のメッセージが「ケセラセラ」だった事は、なんか象徴的な感じがします。
※「理想」というコトバが高邁すぎたら「希望」と読み替えて下さい。