Always look on the bright side of life | モノゴトをオモシロくスルドく見る方法「かふてつの方丈記 」

モノゴトをオモシロくスルドく見る方法「かふてつの方丈記 」

  
How to look everythings essentially
or
Everythings gonna be alright

前回の「JSB「マタイ受難曲」とALW「JCS」を比べたら」が途中からモンティパイソンの話になっちゃって明らかに長くなり過ぎたので、補強の上切り出します。
 
前回書いた「ローマ帝国とユダヤ人コミュニティの緊張関係を描いた別の映画」とは、モンティパイソンの「ライフオブブライアン」です(キリストのパロディ)。
 

 

島国根性の日本人にはあまりピンと来ないけど、よく考えるとヨーロッパにせよ中国にせよ、世界は常に何たら帝国とか何たら朝に広域支配されていました。その中に従属国・民族とかが居る訳です。で常に独立闘争を繰り返していました。今でもクルド人とかやってます。ついちょっと前も東ティモールでやってました。ずっと前はアイルランドでもやってました。

 

日本が大政奉還して開国した理由も列強に植民地化される危機感が背景にあったと言われています。だから、日本も無関係では無いのです。

 

 

「ライフオブブライアン」はパロディ映画なので、ローマ帝国支配とユダヤ人独立闘争家のセクト間対立の状況をパロディとして誇張して描いてるおり、判りやすいです。日本でも昔学生運動が盛んだった時には全く同じような極左のセクト間対立があって、中核派と革マル派が対立してたりして、延長上に連合赤軍が浅間山荘事件を始めとした事件を起こしたりしてました。

 

 

私の大学生時代にはもうセクト争いは落ち着いていましたが、私の学校の場合まだ革マル派とか民青とかが居るには居て、体裁上にたまに騒いでいたりしてました。

  

私はもう終わっちゃった世代なので、当時極左が同じ理想を掲げているハズなのにセクト間で殺傷沙汰にまで対立して自滅しちゃたのが何でだったのか良く判りません。主導権争いだったんでしょうけど、会社の派閥争いみたいなもんだったんでしょうか?会社の派閥争いでゲバ棒で殴り合いをしたら面白いと思うのでやってみて下さい。当時を知っている方がいらっしゃったら教えて頂けると嬉しいです。

 

なので、日本は幸運な事に植民地化されなかったから「民族独立闘争」といった大げさなモノはありませんでしたが、「ライフオブブライアン」は、宗主国vs従属国の問題と、過激な反政府活動の問題は世界史的に普遍的な問題として意識しないといけないんだなぁと再確認できる映画です。キリストが何故受難を受けなければならなかったのかもこの文脈から何となく解るような気がします。

  

-*-

 

とはいうものの。「ライフオブブライアン」はモンティパイソンとしては正直あまり面白くはありません【下注】。しかし不朽の名曲"always look on the bright side of life"を生んだ作品として映画史に名を残しています。この歌はキリストになり損ねた主人公ブライアンが磔刑にされるラストシーンで歌われます。だからこれはモンティ・パイソン版の受難曲なのです。

 

◆「ライフオブブライアン」の同シーン(ここから全てが始まった) →https://youtu.be/L2Wx230gYJw

 

-*-

 

"Always Look on the Bright Side of Life"は、Wikipediaではこう解説されています。→

https://ja.wikipedia.org/wiki/Always_Look_on_the_Bright_Side_of_LifeAlways Look on the Bright Side of Life

 

 

ポイントになる部分を引用してみましょう。

 

・『この曲は、英国の伝統とも言える禁欲や、困難に遭った時も感情を表さない ('stiff upper lip') 態度を反映しており、絶大な人気を博した。フォークランド紛争中の1982年5月4日、エグゾセ巡航ミサイルの攻撃を受けた駆逐艦・シェフィールドでは、船が沈み行く中、助けを待つ船員たちがこの曲を合唱した。同じくフォークランド紛争で戦没した駆逐艦・コヴェントリーの船員も、助けを待ちながらこの曲を歌った。』

 

・『2005年のミュージック・チョイス(英語版)による調査では、「英国人が葬儀で流したい曲」第3位にこの曲が挙げられている。』

 

・『この曲は、英国のサッカークラブ・ウェスト・ブロムウィッチ・アルビオンFCのライバル・サポーターには、"Always shit on a Tesco carrier bag"(訳:テスコのキャリーバッグにクソしてな)として歌われる。マンチェスター・ユナイテッドFCが試合で負けた際に、サポーターがこの歌を合唱することがある。』

 

-*-

 

つまり、イギリス人(のみならず全ヨーロッパ)にとって、これはニッポンの「上を向いて歩こう」に相当する歌なのです。 因みに、2012年 ロンドンオリンピック閉会式の最大の山場が、"Always Look on the Bright Side of Life"のシーンでしたが、この時のNHKアナウンサーの実況が酷かった。だって、何にも知らないんだもん。"Always Look on the Bright Side of Life"もエリック・アイドルもモンティパイソンすら。

 

 

これはもう、地球世界の社会人として致命的な教養不足ですよ。今、私は"社会人として一定の礼節をわきまえた言い方"をしてしまいましたが、判りやすく言うと要はバカですよ。こんなのがNHKでアナウンサーをやってて、しかも夜7時のニュースなんかに出てる事自体もう世も末です。

 

ロンドンオリンピック閉会式の同シーンは、幸いYouTubeにUPされているから、それで良しとする他ありません。

 ↓リンク(必見です)

https://youtu.be/jiu0lYQIPqE

 

-*-

 

その他バージョンについてもYouTubeから引用してみます。

 

◆Monty Python (Official Lyric Video)

 →https://youtu.be/X_-q9xeOgG4

 

◆ミュージカル「スパマロット」より

 ※パッツィー役は「Willow」「ハリーポッター」のWarwick Davisです!!

 →https://youtu.be/eI_84YnM-rM

 

◆コミックオラトリオ「ノット・ザ・メシア」より →https://youtu.be/49XCLA0qW6Q

 

◆『恋愛小説家』(As Good as It Gets)より Art Garfunkel

 →https://youtu.be/K4-q7IIGlYw

 

◆『Djurgarden - Hammarby 2016 →https://youtu.be/DTbM1N2ylLw

 

-*-

 

【下注】

「ライフオブブライアン」より「ホーリーグレイル」の方がずっと良いと思います。こうなっちゃったのはきっと絶対、「ホーリーグレイル」がテリー・ギリアムとテリー・ジョーンズの共同監督なのに対し、「ライフオブブライアン」てはテリー・ギリアムは美術担当として身を引き、テリー・ジョーンズが単独で監督したからだと思います。

 

 

 

テリー・ギリアムとテリー・ジョーンズがモンティパイソン後どんな道を歩んだかは、今となっては自明なので、敢えて語る事はしませんが、やっぱりテリー・ギリアムはこの頃から凄かったんだろうなあ、と思います。

   

蛇足ですが、「ホーリーグレイル」をエリック・アイドルがミュージカル化した「スパムロット」も、是非ご覧頂きたいと思います。日本では福田雄一が2回上演しました。又次もあるかも知れないから見逃さないようにしましょう。

 

https://youtu.be/Va5qzizoDn0

 

-*-

 

テリー・ギリアムやモンティパイソンについてはまた別途論考したいと思います。