前回の投稿は舌っ足らずのまま終わってしまったので、慌てて補足します。
前回の投稿を下記のように読み取った方が殆どだと思います。
・宮沢賢治は単なるサラリーマンだった。
・宮沢賢治の童話や詩作は単なるサラリーマンの趣味だった。
・ビル・ゲイツは偶然お金持ちになっただけだった。
上記、一面だけ見るとその通りには違いないのですが、ホントはそれだけじゃ無いのです。私がワザとそう書いたので、そう思った方には罪はありません。私が悪かった。
ヒントは以下の一文です。
「本来インテリってのは、広く深い知見=教養を持ち、人格品性を磨き上げ、独自の思想・哲学を確立し、世間の人達のリーダーとして責任を持って行動する人の事を言います」
ここから読み取れってのも無理な話なので、ちゃんと解説します。上記のセンテンスで注目して欲しいのは、「行動」と言う単語です。
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-宮沢賢治の人生は、確かにハタから見ると一介のサラリーマンだったように見えますが 、ホントは違います。あくまで個人的見解ですが、「思想の実践者」と言うのが正しいと思ってます。
農学校を辞めた理由は前回は書けませんでしたが、「人に教えるばかりで自分は実践していない」事に疑問を持ったかららしいです。
で、農学校を辞めて思想の実践者として活動を始め、その結果出来たのが「羅須地人協会」なのです。
「羅須地人協会」での主な活動は、農業指導(特に施肥指導)、音楽・文芸と言った農民芸術の振興活動、エスペラント語の学習等ですが、詳しくは Wiki を見て下さい。
「羅須地人協会」の精神は「農民芸術概論綱要」に表されており、最も端的な一文が下記の通りです。
「世界がぜんたい幸福にならないうちは個人の幸福はあり得ない」
つまり賢治は「ぜんたい幸福な世界」を目指すと言う思想に基づいて実践活動をしていた訳です。一人で頑張っていただけだから、実現出来た事は高が知れていたかも知れませんが、それでも「実践する思想家」には違いないのです。
賢治が目指した「ぜんたい幸福な世界」は「イーハトーブ」として、具体的にイメージされました。ここも深くて細かくは書けないので詳しくは Wiki を見て下さい。
賢治自身によるイーハトーブの説明は下記の通りです。(Wikiより)
「イーハトヴとは一つの地名である。強て、その地点を求むるならば、大小クラウスたちの耕していた、野原や、少女アリスが辿った鏡の国と同じ世界の中、テパーンタール砂漠の遥かな北東、イヴン王国の遠い東と考えられる。実にこれは、著者の心象中に、この様な状景をもって実在したドリームランドとしての日本岩手県である。」
童話としての形を借りてはいますが、賢治はこのような理想郷の実現に向け実践をしていた訳です。
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そして、賢治の童話や詩作は理想郷イーハトーブの具体的な青写真である訳です。
マルクスは論文として「資本論」で自分の思想を表明しましたが、賢治は童話・詩作で思想を表明した訳です。だから、これらはマルクスの「資本論」に相当する物なのです。
マルクスを引き合いに出したのは、やっぱりユートピア的な理想郷って何だろうと考えると、どうしても原始共産制社会みたいなのをイメージしちゃうからです。
皆で働き、皆で分け合い、誰も衣食住に困らない、平等な社会、みたいなの。具体的には「ナウシカ」に出てくる風の谷とか、「未来少年コナン」に出てくるハイハーバーですよ。宮崎駿は明らかに影響受けてるから。
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思想というのは机上で能書き垂れててもしようが無い訳で、誰かが実践しないと意味が無い訳ですよ。マルクスは「社会主義革命」「共産主義運動」と言う形で大勢の人を動かす事になりました。上手くいったかどうかは別として、少なくとも大勢の人に行動を促したのは事実です。
思想家は大勢居ますけど、実際人を行動させちゃう思想家ってのはそう多くは無いと思う。
一方で、自分で実践しちゃう思想家も居て、宮沢賢治がそうだし、サルトルなんか最たる者です。
サルトルは実存主義の思想家ですが、アンガージュマン(社会参加)とか言って自分の思想を実践しました。で、何をしたかというと単なるビラ配りだったりして笑っちゃうのですが、それでも実践した訳ですよ。
これぐらいで賢治の補足は良いかな・・・
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次はビル・ゲイツです。
前回はビル・ゲイツをバカにしたような書きっぷりをしましたが、ホントは偉いと思っています。
そこもやっぱり「行動」に関わる部分で、IBMとゲイリー・キルドールの間でモメ事になったという、千載一遇のチャンスをちゃんとモノにした、チャンスを取りに行ったと言う行動を取ったのはやっぱり偉人だと思う。
しかも、その時自分はマイコン用のOSなんか持っていなかった訳ですよ。持ってないのに真っ先にチャンスを取ってきて、OSは後から何とかしたと言う行動力はスゴい。
その時点では、これが世界二位のお金持ちになるチャンスだとは夢にも思って無かったと思うけど、このチャンスが世界二位のお金持ちにしてくれた訳ですよ。
チャンスなんで人生でそうなかなか無い物だから、貴重なチャンスを自ら取りに行って、世界二位のお金持ちに成っちゃったと言うのは素直に見習うべきだと思う。
と言う訳で、ビル・ゲイツもさすがに偉いと言う話でした。
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いずれにせよ、実践、行動こそが重要という結論でございました。