テリー・ギリアム三部作について(上) | モノゴトをオモシロくスルドく見る方法「かふてつの方丈記 」

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昨日、小人の話題でテリーギリアムに言及したので、テリーギリアムの話をします。


テリーギリアムは私が最も敬愛する映画作家の一人であり、私の人格を形成したモンティパイソンのメンバーでもあります。

 

テリー・ギリアムには三部作と呼ばれる初期の作品群があります。

 

①「タイムバンデッツ」(邦題の「パンデットQ」は嫌だから使わない)
②「ブラジル」
③「バロン」The Adventures of Baron Munchausen

の3つです。


これらは皆、「現実」と「ファンタジー」の相克関係を描いており、詰まらない「現実」より、充実した「ファンタジー」の世界の方がずっと良いと言う、共通するテーマを描いています。

 

各作品の概略を説明・解説しますが、未見の方へのネタバレを防ぐため、細かいストーリーは極力書かないようにします。なので未見の方には何を言ってるか判らない部分もあろうと思いますが、興味があったら観てみて下さい。観てる方は何を言ってるか判ると思います。

 

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1)タイムバンデッツ


 主人公はケビンという少年で、昔のギリシアや騎士の時代を夢見ながら生活しています。一方両親は数々の電化製品に囲まれて、いつもTVを見ていると言う生活を送っています。

 

ある晩ケビン君のクローゼットから小人の一団が現れます。彼らはシュープリーム・ビーイング(面倒くさいから以下神様とします)の手下なのです。神は7日間で世界を想像したので、実は世界は穴だらけで至るところにタイムホールがあるのです。小人たちは神様からタイムホールの地図を失敬して、時空を行き来し泥棒行為を働いていたのです。

 

ケビン君は小人に加わり、ナポレオン、ロビンフッド、アガムメノン王(ショーン・コネリー)に出会い、最後は人間の歴史には無いはずの「伝説の時代」に至り、そこに居を構える悪魔と対決します。

 

悪魔は人間に”テクノロジー”を与えて堕落させる存在とされており、タイムホールの地図を狙っていたのです。

 

ケビン君と小人達は悪魔に追い詰められ、死者も大勢出しますが、最後は神が現れ悪魔を破壊します。悪魔も神の被造物だったのです。「悪魔のデキは良かった」と自画自賛する神にケビン君は問います「悪魔のせいで人が大勢死んだ、何故そんな物を作ったのか」と。神は答えます「自由意思」のためだ。


最後、神と小人は神の世界の戻りますが、ケビン君は置き去りにされます。「君は君の戦いを続けたまえ」と。


ケビン君が気付くと元の家のベットに居て、家は火事になっています。ケビン君は消防士(この消防士はアガメムノンの顔をしている)に救助されます。

ケビン君の手元にはポラロイドカメラで撮った今までの冒険の写真が残っており、冒険は現実だったことが示されます。

 

火事の火元はトースターで、両親がトースターを明けるとそこには破壊された悪魔の「かけら」が入っており、両親は悪魔のかけらに手を触れ、爆死してしまいます。(ここはモンティパイソンでは見慣れた光景ですが、パイソニアンじゃない人が観ると一寸ショックかも)

 

ラスト、両親も爆死し、消防車も去り、火事場跡で呆然としているケビン君をズームアウトし、宇宙から見た地球を経由しタイムホールの地図に至り、ジ・エンドとなります。

 

つまり、ケビン君は「ファンタジー」から戻り、「現実」に置き去りにされる訳です。

 

(続く)