健康診断を受ける。
毎年一回の義務的な行事の一つだ。

8時15分過ぎにクリニックに到着する。何時に行っても黒山の人だかりだが、今回はいつもよりも30分は早く家を出たから、幾分か混雑は和らいでいる。
受付の整理番号を貰いソファに座る。テーブルに広げられた暇つぶしグッズに目をやる。日経やら読売等の新聞、少し前に刊行された女性誌、カタログ誌、クリニックが無料で配布している専門誌、実に様々だ。
整理番号を呼ばれたので受付で健康調査票と検便二日分を渡し、(考えたら自分の排泄物をうら若き女性に渡すなんて、なんという破廉恥さ!)再びソファに腰掛ける。
さいとうさーん、今度は名前で呼ばれる。検査着と番号札を渡される。205番。コレが僕の番号。
男性用更衣室でスーツを脱ぎ、パンツ一つの上に検査着を纏い、番号札をつける。僕はさいとうではなく、ただの205番になる。205番。
検尿の検査をする。50ccいれるように指示される。紙コップの内側にはビーカーのように細かく目盛りが刻まれている。トイレの小便器の上に小さな扉があり、そこを開けると紙コップを置くように台が設置されている。排尿。ちょうど50ccになるように調節。それ以上に出てくる尿は便器へと流す。検査されない尿もあるんだよ。
検尿後、しばし待ち。看護師さんが目の前を所せましと歩いていく。204番さーん、204番さんいらっしゃいませんか?どうやら204番が見当たらないらしい。しばらくすると、ああ私だと成人男性がカウンターにやってくる。ダメだぞ自覚が足りない。自分が204番であるという自覚が足りない。圧倒的自覚が。私はそう205番だ。
205番さーん、おっと私だ。次は採血。血管が出にくいので採血前から自主的に親指を手の平で包むようにニギニギする。看護師さん現る。チクっとしますよー。刺される。取られる。取られる。取られる。抜かれる。割とスムーズに終わる。よっしゃ。
別室に移動し、しばし待ち。伊勢丹のお歳暮カタログを読む。くっ、美味そうなもん並べてやがる!さすが伊勢丹!言い忘れていたが、朝から何も食べていないので腹減り腹減りペコリーナ状態である。あー、美味そう。ワイン、日本酒、お菓子もいいが何と言っても肉。肉肉肉。肉である。米沢牛、松沢牛、神戸牛、そして何と言っても松坂牛。肉の脂のサシが違う。あー腹減った。
次はエコー検査。腹部の検査だ。個室に移動し、専門の看護師さんと2人っきりになる。検査の都合上、電気も消される。怪しい雰囲気になるがあくまで検査である。人間ドック。わんわん。ドッグ。ベッドに横たわり検査着を上までめくり上げる。ゼリー状の液体を腹部に塗りつけられ、電マにも似た怪しい物体で、腹部の中を見られる。息を吸ったり、吐いたり、止める。電マで腹部をグリグリされる。検査が終わる。看護師さんがゼリーを拭いてくれる。コレって女の子が腹に出された精液拭かれてる感触に似ているのではないかとふと思う。コレは検査だ。
続いてはX線。すぐ終わる。つまらん。つまらん検査はもうやめた。
そして、バリウムだ。このために昨晩は9時以降飲食をやめ、今日も朝食を抜いたのだ。採血のためでもあるか。知っている人もいるかと思うが、バリウムの検査をする人はドSだ。腹を膨らませる薬を飲ませ、ゲップをするなと言い、白いドロっとした妙に甘い(そういう改良をしたんだろう。無味よりは飲みやすいか)バリウムを流し込んだ後に、2001年宇宙の旅にでも出て来そうな馬鹿でかい機械に乗せた挙句、回転しろと身体を45度傾けろとか無茶難題を出すのだ。もちろん検査の間はゲップを禁止である。ドSなんだけど、世間体のために女王様とかにまではなれないって人は本当にバリウム検査技師を目指してもいいのではないか。そんな職業かどうかは知らんが。さて、今回はどんなドS野郎が、、、、お、女!女性の検査技師!女王様ですか!!ヤル気俄然アップである。コレは検査ではない。プレイだ。もうそう思い込むことにした。するとどうだろう、胃を広げるための炭酸のゲロをリバースする瞬間のような臭いも技師から出される無理難題も最高に楽しいではないか!嘘です。辛いもんは辛い。下剤を飲んでバリウム終了。バリウムを飲んだので、とりあえずの空腹は満たされる。が、食べたかったのはあんな白い液体じゃなかった。
ソファで東京ウォーカーの餃子特集を読む。うまそう。(晩ご飯は餃子になった)
残すは、内科とか血圧とか身長体重、視力、聴力などのお決まりコース。サラっと終わる。内科の医師の持っていたiPhoneケースがやたら派手だった。肛門検査はなし。痛いのいや。受付カウンターで検査漏れがないか最終確認をして終了。

検査着を脱ぎ、番号札をとる。205番からさいとうに戻る。数字が名前。名前が数字。どっちかな?ぼくはさいとう。

仕事に戻る。結果が来るまでは3週間ぐらいかかるそうだ。やれやれ。