自作小説で暇つぶし
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眠りを誘う暇潰し

こいつは一体、今まで何人に同じ事をさせ、そして今までの人はどれだけ耐えれたのだろうか?
電車に揺られながらそんな事を考えていた

その時不意にあの声がする
(このゲームの苦しさが理解出来たようだな。
まだ3人だぜ?今までの最高は4人だったかな・・・)

「4っ・!」
俺の思考を読み、更に俺の不安を煽る様に投げ掛けられた言葉に、
思わず声を出し、ここが電車だと我に返り口を閉ざした
周りの乗客がちらりとこっちを見て、何もなかった様に視線を戻す

4人・・・
もし俺もそうならば、今日行動を起こした時点で俺は・・・
それでも、何もしなくてもリミットが来る。
殺らなければ殺られる・・・
何処かで聞いたセリフが頭を過る

「考えてもどうにもならない、か」
今度は小さく呟き、窓の外を眺めていた

仕事も半ば上の空で思うように進まず
刻一刻と残された時間が少なくなる
結局定時には終われず、
職場を出たのは19時を過ぎていた

後2時間も無い・・・
今日は兎に角女性で有れば良い

さすがにこの時間、人通りは多く、
且つ直ぐに行動を起こせば、下手をすれば明日は職場でリミットを迎える羽目になる

「・・・ギリギリまで待つしかない・・・か」

連続勤務で暇潰し

「タケル!おはようー‼」
「うぐっ・・おは、よう」

翌朝、月曜日恒例のヒカリのダイブで俺は目が覚めた
ヒカリは今日も元気そうだ
「今朝は、タケルが昨夜買ってきてくれた野菜と魚と卵焼きだよ!」

昨夜俺は、言い訳を考えていたのだが
万が一を想定し、コンビニと自宅の間にあるスーパーで買い物をして帰った
万が一とはもちろん、犯罪を疑われた場合だ。
言わずともわかるだろうが、
コンビニで立ち読みしていた、と言うと警察の捜査で防犯カメラを見れば逆に怪しまれる
タイムラグがあるものの、アリバイが有ればなんとか誤魔化せる
犯行自体が人に在らざる者の仕業なのだから・・・
「そういえば、昨日凄く寝苦しそうだったね?大丈夫なの?」

そう尋ねるヒカリの後ろでは、ニュースで昨夜の女性が映されていた

「俺は大丈夫だよ、ヒカリこそ熱中症とか気をつけるんだぞ?」
そう答えてみたが、けして大丈夫では無い。

当然だ、今俺の頭の中には昨日までの3人の記憶と個人情報が詰まっている
人の記憶力が曖昧で助かるとは思わなかったよ。
これが、あの霧の力なのかはわからないが、それぞれ印象的な出来事と最近の事以外は掠れてしまっている
それでも情報はぎっしりで、このまま続けて俺は・・・

俺のままでいることが出来るのか?

寝惚け頭の暇潰し

これまでの二人の時もそうだったが、この瞬間は鼓動が速くなる
見ず知らずの人間の未来を奪うのだから当然の事だろう
女性までの距離は数メートルのはずなのに、
すぐ後ろに行くまでの時間はとても長く感じた

「ひっ!」
足音に気付いたのか、女性は後ろを振り返り、俺の姿を見てそんな悲鳴をあげた
しかしそこからは一瞬だった

この刀で斬りさえすれば、魂を奪われる
女性はそれ以上声をあげることは無く
項垂れる様にその場に倒れた

(3日目もなんとか間に合ったな
さて、明日はどんな風に俺を楽しませてくれるのかな?)

俺の中に潜んでいるのであろう声が問い掛ける
俺はヒカリの側で生きるためにこうしている。
こいつは、善悪の狭間で苦しむ俺の心を見透かして楽しんでいるのだろう

「別にお前の為にやってる訳じゃないさ」
その場から駆け足で離れつつ俺は、聴こえているのかすらわからないそいつに無愛想に答えた
さて、
とにかく今日はなんとか生き延びた・・・

所謂生け贄を捧げると、1分程で身体を覆う霧は消えていく。
その間に闇に紛れ、姿が戻ればなに食わぬ顔で人通りのある道を帰る
「さて、今日は立ち読みしていた事にして誤魔化すか・・・」
長い買い物に、ヒカリにする言い訳を考えながら俺は帰路についた
次のターゲットまで
後24時間。
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