白い悪魔は音もなく忍び寄ってくる。これは昔から表層雪崩の恐ろしさを表した言葉です。
全層雪崩は雪が地面を離れて滑って発生するので、発生前にバン等と言う大きな音がしますし、又、斜面の雪面に亀裂が走っていて雪崩発生予兆があります。しかし、表層雪崩は硬い雪面に降った新雪が硬い雪面を滑って発生するので、ほとんど音がしないと言われています。自分の目の前に雪崩が来て初めて気がつくとも言われています。
林業の仕事をして冬山を歩いていて、表層雪崩に巻き込まれ、助かった人の話を聞いたところによると、雪崩は音もなく発生し、気がついたときは雪崩に飲み込まれ、水の中を流されている様な気がしながら雪の中を流されていったそうです。
雪の流れが止まり、水中に浮いているような感じがして、もがいても、もがいても上に行くことができず、またもがいていて上に向かっているのか、地面の方に向かっているかもわからなかったそうです。
その内に雪がだんだん締まってきて体が締め付けられ気失ってしまたそうです。
雪崩に巻き込まれてから20分前後に林業仲間の人たちに雪の中から掘り起こされされ、意識不明のまま病院に搬送され助かったその人の話は、雪崩に巻き込まれたた際に、おおいに参考になります。その方はまた、雪の流れが止まったとき、いかに自分の周囲に、もがいて空間を作ることができるか、それが呼吸できるスペースを作るそうです。そして、巻き込まれてから掘り起こされるまでの時間との、戦いだとも話をしていました。
2月1日発生した玉川温泉の雪崩事故は、まさにこの事を表しています。亡くなられた方々には心から哀悼の意を表します。厳しい意見ですが、雪崩の発生を知った時は、巻き込まれた人がいることを前提に、いち早く現場に駆けつけ雪を掘り起こす人、そして、旅館内で巻き込まれた人がいないかどうか確認する人、この行動が同時進行で進めなければならなかったと思います。
雪の中での営業はここまでの危機管理が必要だったと思います。安全措置がされるまで営業は控えるとのことでしたが、お客の安全を第1に、安全に十分配慮されるまで営業はするべきでないと思います。
雪国の冬の観光は想定外は許されません。安全に十分な配慮が求められ、安全が確保された上での美しい雪景色とならなければなりません。
積雪が多くなり雪の事故が多くなると思いますが、冬山に行かれる方は雪崩や雪面の滑落、雪下ろしでは2名以上や監視人をつけて、除雪機はエンジンを止めてから修理等をお互いに注意を怠らないように安全第一です。