細胞内の翻訳会社と呼ばれるリボソームとバイオインフォマティクス | 高橋翻訳事務所スタッフリレーブログ

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こんにちは。高橋翻訳事務所(http://goo.gl/25cZv)生物学翻訳担当の平井と申します。
医学翻訳 ・分子生物学翻訳 ・生化学翻訳バイオインフォマティクスは英語でbioinformaticsとつづりますが、ワープロによってはスペルチェックに引っかかってしまうような新しい言葉です。バイオインフォマティクスはbiologyとinformaticsをくっつけてできた造語で(中国人の研究者が名付けたとされる)、生命情報学といった類の日本語を意味します。

とはいっても「こういう学問ですよ」という定義は、人によってまだかなりぶれているようで、「私はバイオインフォマティクスをやっている」と宣言した人(こういう人をバイオインフォマティシャン[bioinformatician]という)がやっている学問を指すと思っておいた方がもめなくてよいでしょう。

ヒトゲノムは21世紀初頭にだいたい解読されましたが、ゲノム自体はDNA配列が延々と続いているだけで、それを眺めてもわけのわからない呪文を見ているようであまり意味がありません。

まず、ゲノムの中からタンパク質に翻訳される部分を抜き出す必要があります。DNA内の塩基が3個で1つのアミノ酸をコードしているので、読み始めの位置としては、1番目の塩基、2番目の塩基、3番目の塩基というように3ヶ所を考えることができます。それぞれの始まりからDNAをアミノ酸に翻訳したとき、最も確からしい位置を見つけるのは結構大変な作業で、人間が目で見て実行することは不可能です。

おまけにゲノムはリボソーム(細胞内の翻訳会社)の対象にならない領域だらけで(9割以上はジャンク)、1つのタンパク質を作るのに意味のあるDNA断片をいくつかつなげる必要があったりします。

アミノ酸の位置の特定や組み合わせの計算を必要とするゲノム解析には、のっけからコンピュータが必要だったのです。つまりバイオインフォマティクスの技術なくしては成立しなかったのです。
このほか、タンパク質の配列同士を比較して類縁関係を調べたり、形や機能を予測したりするのにもバイオインフォマティクスが利用されています。

医学翻訳 ・分子生物学翻訳 ・生化学翻訳コラム担当者紹介
大学や研究所で得た知識と経験を生かし、生命科学全般を対象に翻訳を手掛けております。最先端の技術内容に関する仕事が多いため、調査には十分な時間をかけた上で、読み手の立場を十分に配慮し、さらに原文のニュアンスや言葉のリズムを掴み、論理的で読みやすい翻訳文を提供できるよう努めています。
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医学翻訳分子生物学翻訳生化学翻訳  担当:平井