![医学翻訳](https://stat.ameba.jp/user_images/20120210/18/t-honyaku/49/ac/p/t02200169_0300023011785701963.png?caw=800)
薬の特許は、以前は作り方だけで認められていました。つまり製法特許です。しかし、同じ薬でも作り方は何種類もあるのが普通なので、しばらくすると、違う製法の同じ薬がゾロゾロ出てきます。このゾロ製品は製法の違いだけを考えればよいので、開発費用はわずかで済みます。これでは誰も巨費を投じて薬を開発する気にはなりません。
そこで1967年から、薬そのものに特許が認められるようになりました。これが物質特許で、現在の薬の特許は物質特許や製法特許のほかに、用途や製剤に関するものもあり、その期間は出願から20年とされています。
薬以外の物質の場合は、特許が登録されるとその権利はただちに成立し、期間が満了するまで継続されます。ところが、薬の場合は事情が異なり、厚生労働省が有効性と安全性を確認するため、製造販売承認を出すまでに時間がかかります。その間は、その薬を作ることも売ることもできません。つまり、特許上の権利を行使できないことになります。厚生労働省に治験届を提出してから製造販売承認を得るまで、少なくとも7~8年はかかるので、薬の特許上の権利が大幅に制限されます。
同様の事情を抱えていた米国では、1984年に特許回復法案が成立し、薬の販売承認日から5年を限度として、開発期間中に失われた有効期限の回復を認めています。
日本でも1988年から、特許登録の日から製造販売承認されるまでの長さ(侵食期間)に応じて、特許の有効期間が延長、または回復(回復期間)されています。