不妊治療のさらなる発展 | 高橋翻訳事務所スタッフリレーブログ

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こんにちは。高橋翻訳事務所(http://goo.gl/25cZv)医学翻訳担当の平井と申します。

医学翻訳不妊治療(fertility treatment)は、患者にとって負担が少なくできる限り夫婦本人の生殖細胞(germ cell)で試行されていくのが基本です。人工授精(AIH:artificial insemination with husband's semen)→体外受精(IVF:in vitro fertilization)→顕微鏡受精(ICSI)という手順で成功しなかった場合は、第三者の精子ないしは卵子を提供してもらう人工授精(AIDなど)になります。できれば配偶者間で子供がほしいと思うのは人の常ですが、無精子症(azoospermia)などの病気では最近まで不可能とされてきました。しかし、そうした選択もまもなく終わるかもしれません。

精子の生成の過程では第1精母細胞(spermatocyte)、第2精母細胞、円形精子細胞(round spermatid)、精子の成体と段階があり、第1では染色体が減数分裂(meiosis)前の4倍体であり、第2では2倍体、そして円形精子細胞で本来の1倍体になります。無精子症ではこの円形精子細胞を利用します。無精子症では精母細胞があっても精子として射出できなかったり、顕微授精で受精させても卵子を活性化させる力がないため、この治療では卵子の活性化に第三者のドナー精子の力を借ります。

第三者のドナー精子を卵子に注入し、卵子が活性化を始めた段階で夫の円形精子細胞を注入した後、両者を混同しないように観察しながら、前核という核の未成熟なものができ始めた段階でドナー精子を抜き、夫の精子のみで受精卵に発達させる、というものです。受精後には確認作業としてDNAの照合を行うそうですが、この治療法で懸念されるのは、やはりドナー精子と夫の精子との誤認の問題だと思います。それさえ確実にクリアできれば期待値は高そうです。

このほかにも、夫婦間の不妊治療としては精子や卵子の細胞を正常に発達させるという方法があります。精子細胞を精子に育てる手法としては、サルとマウスを使った培養方法が注目を集めています。どちらも第1精母細胞の段階で発達が止まってしまったものを対象としています。サルの細胞を用いて精母細胞を体外で培養したり、ヒト精子をマウス体内に入れて培養したりする方法がとられていますが、どちらも異種という危険性の高い方法であり、いまだ賛否が分かれている状態です。


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