医薬品副作用救済制度について | 高橋翻訳事務所スタッフリレーブログ

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医薬品副作用救済制度(Adverse Drug Reaction Relief System)について


疾病治療のためにさまざまな医薬品(drug/pharmaceuticals)が使われて、その恩恵にあずかっている一方、肝障害(liver damage)、薬疹(drug eruption)などの副作用(adverse drug reaction/adverse effects)を経験される方も多いのではないでしょうか?重度の副作用の場合、副作用の治療のために入院(hospitalization)を要することもあり、経済的な負担が大きくなります。そのような場合、医薬品副作用救済制度の対象となることがあります。


医薬品医療機器総合機構(Pharmaceuticals and Medical Devices Agency)のホームページによると、「病院・診療所で投薬された医薬品、薬局などで購入した医薬品を適正に使用したにもかかわらず副作用が発生し、入院が必要な程度の疾病や傷害などの健康被害(health damages)を受けた方に、救済給付を行います」とあります。救済給付(relief benefits)を請求する場合は、健康被害を受けた本人または遺族が、所定の証明書や請求書を揃えて、医薬品医療機器総合機構に提出し、厚生労働省がその内容について審議し、最終的に救済給付の支給可否を決定します。2008年度のデータによると、請求申請の件数は926件、申請から決定までの期間の中央値(median)は6.5カ月だったそうです。


先日、薬剤性肝障害(drug-induced liver damages)と診断された知人が、この制度に基づく給付請求を検討した結果、申請を行わない決断をしました。


理由は、
①入院という話はあったものの病室の都合で入院できずに自宅療養となったため、対象となるかどうかが微妙であること。


②医療機関などから発行してもらう証明書は自己負担となり、3ヵ所の医療機関が関わっていて、証明書の文書料だけでも1万円くらいかかることになり、万が一支給対象とならなかった場合に余計な経済的負担となること。また、3ヵ所の医療機関から文書を発行してもらいに行くのに時間もかかること。


③医薬品医療機器総合機構に手続き等の問い合わせを行った際、申請の処理に約8ヵ月かかるという話であったこと。


1ヵ月ほどで回復して医療費もそれほど高額にはならなかったため、申請に要する経済的・時間的負担を検討した結果、申請は行わないことにしたそうです。


この制度についてのポスターを病院などで見かけることがありますが、まだ認知度は低い制度のような気がします。申請ベースの制度で、知らないために利用していない方もいらっしゃるのではないかと思います。他にもさまざまな救済制度があるようですので、一度調べてみておくのも良いかもしれません。


(株)高橋翻訳 事務所 医学翻訳 ・薬事申請翻訳 担当  Y.O.