環境破壊と地震の被害について(環境翻訳担当Y.M.) | 高橋翻訳事務所スタッフリレーブログ

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こんにちは。環境 分野の翻訳 を担当しているY.M.です。


1月にはハイチで、続いて2月にはチリで、マグニチュード7を超える地震が相次ぎました。特にチリ地震は史上7番目の規模と言われるほど大きなものでした。しかし、被害の規模でいえばハイチの方が断然大きいことは一目瞭然です。

このような被害の差を引き起こした要因については、チリでの被災者数が当初予測よりずっと少ないと判明した辺から多くの議論がなされてきました。発生地や震源の深さといった地学的な要因はもとより、両国の経済基盤の相違、地震経験の有無、政府の効率性等々。その中でふと目にとまったのは、自然環境 破壊と地震被害規模の関係に関する議論でした。

Global PostStephan Faris氏は、ハイチの環境破壊が間接的に今回の被害規模に影響していると分析しています。常に最貧国と形容されるハイチでは、著しい人口増加に伴って山を開き、畑をつくる;森が失われ、土壌が流出し、生産量が落ちる;追いつめられた人口は比較的農業に向いている平地に密集してスラムを形成する;人々は食べるために燃料としての木材を売りながらまた山を開き、同じサイクルが繰り返される。その過程は「悪循環」ではなく下降する「螺旋」だと、現地NGOPhilippe Mathieu氏は述べています。

日々食べるために木を切り倒すことしかできないような状況で、耐震構造の建物など思いもよらないだろうし、また知識があったとしても十分な建材を仕入れることは不可能でしょう。またメディアがこぞって、ハイチ地震は人口密集地を襲ったためにチリ地震に比べて被害が大きかったとしているが、そもそも人口増加、山林の破壊、貧困に苦しむハイチではスラムを形成して生活する以外選択肢のない人達が多いわけです。

今回のハイチの地震被害は、政治経済 、教育、環境 等さまざまな要因が絡み合ってもたらされたことは明らかです。しかし、環境のおよぼす影響は、世間が思うより実はずっと大きいものなのかもしれません。

参照:http://www.globalpost.com/dispatch/worldview/100127/haiti-earthquake-environment

高橋翻訳 事務所 環境翻訳 担当 Y.M.