「刑事訴訟法改正案」について(政治翻訳担当 佐々木) | 高橋翻訳事務所スタッフリレーブログ

高橋翻訳事務所スタッフリレーブログ

プロ翻訳家による丁寧な翻訳で海外・国内のホットな話題を翻訳家の視点で書き綴っております。

こんにちは。政治 分野の翻訳 を担当している佐々木です。今回は、実際に翻訳 のお仕事をいただいたこともあるテーマ、「時効 (statute of limitations) 」について取り上げてみます。


先日、刑事事件の公訴時効を廃止・延長する刑事訴訟法改正案が法制審議会の専門部会でまとまり、今国会に提出される見通しとなりました。日本で時効制度が導入されたのは1880年で、すべての犯罪に適用、最長で10年でした。その後、1908年に最長15年となり、2004年に改正されるまで、約1世紀の間維持されてきました。


2004年に刑事訴訟法(Criminal Procedure Law)が改正され、時効の最長は15年から25年に延長されました。背景には治安情勢の悪化があり、同時に刑法も改正され、有期刑の上限が懲役20年から30年になるなど、凶悪犯罪(heinous crime)の厳罰化(draconianism)が進みました。


海外の時効制度を見てみますと、ヨーロッパの主要な国は原則としてすべての罪に時効を設けています。ヨーロッパ各国の法制度の基となったローマ法(Roman Law)に時効の規定があったことが主な要因と言われています。一方で、イギリスには原則として時効制度がなく、イギリスから独立したアメリカも、州によって制度は異なりますが、殺人罪(homicide)については時効がありません。この他にも、スウェーデンでは今年、殺人罪の時効(25年)を廃止する法案が国会で可決されました。


これまで、犯罪の被害者や遺族、捜査関係者にとって時効制度の壁は高いものでした。時効により、加害者が「逃げ得」することも決して許されることではありません。


DNA鑑定など科学捜査の精度が向上したことも今回の改正の主な理由の1つですが、被害者の権利を重要視する世論の高まりも、強く後押ししたと言えるでしょう。


政治 分野の翻訳 では、上に併記したような英語 が多く使われ、定訳 を使って適切な翻訳 が必要です。


政治翻訳 担当 佐々木)