ソムリエ 最終試験


試験官の”それでは始めてください”のアナウンスで6名同時にスタートします。


私は

かしこまりました!とすぐにボトルを取りに行くやり方で練習してきました。


他の方は

かしこまりました。シャトータサンですね。

只今お持ちしますのでしばらくお待ち下さいませ。

と試験官に向かって言っています。


私はこの方法を練習しませんでしたし、ボトルを持ってきた後に


こちらご注文頂きましたシャトータサン2019になります。


と同じ事を2回言うのに違和感があったので

かしこまりました!のみでアイテムを取りに。


しかし隣の女性の声につられて ちょっと動揺してしまいました。私だけ言わないのか…


大丈夫!自分を信じよう。いつも通りにやろう!


ボトルを持ち上げ 澱のチェック

優しく丁寧にパニエに入れ

試験官の前に戻り 

ワインの説明とデキャンタージュの許可を得ます。試験官が頷いてくれるか頷いてくれないかは

その時しか分かりません。頷いてくれなくても

気にせず続けます。


デキャンタージュに使うアイテムを取りに行きます。


トレイがデカイ 皿もデカイ……

パニエも持ち手が無いタイプで

当たり前ですが練習とは少し違う事が起こります。


落ち着いて 落ち着いて。


グラス、デキャンタージュの匂いチェック忘れずに


ボトルの口を拭く紙2枚、ライト、グラス2脚、デキャンタを定位置に置き


それでは抜栓させて頂きます。


大きく息を吸い込み右ポケットからソムリエナイフを取り出します。


ボトルを左手で押さえキャップシールを切る……



…………





右手が嘘みたいにワナワナ震えていました。





気持ちは普段の藤次先生の睨み もとい

熱い眼差しの時の緊張よりマシだった気がしていましたが


いやいや めっちゃくちゃ手が震えてるって!

自分でびっくりしその瞬間に緊張がMAXに達しました。


これじゃあキャップシール切れない…


緊張したらお腹に力をぐっと入れるんだよ!と

同じビルのジャズバーのママの言葉を

思い出しました。


腹筋に力を入れて

左手でぐっとボトルを押さえました


右手に

お願い!お願い!

もう今日が最後だから!

やっとここまできたから!本当お願い!


震えは止まりません。

右手が別の生き物のようでした。


でももうやるしかありません。


キャップシールは2回で切れた手答えがありましたが念の為もう一回ナイフを入れました。

そう決めていたのでその通りにします。


綺麗に切れていました。

紙で瓶口を拭いて右のポケットに仕舞います。


抜栓 ゆっくり ゆっくり ゆっくり丁寧に

コルクが抜ける最後まで丁寧に。


抜栓が終わる頃には手の震えは気にならなくなり

いつも通りになりました。


デキャンタージュも深呼吸をして丁寧に。


全ての動作を丁寧にゆっくりを心がけました。

こぼす事もなく落ち着いて最後まで集中しました。

6名の中では多分2番目くらいに終了したと思います。


使ったテイスティンググラス パニエ ライトを直す時に 瓶口を拭く紙がテーブルに一枚残ってました。


あれ?瓶口2回拭いたはず なんで紙余ってるんだ?もしかして 一回拭き忘れた?うわ!?


実技が終了し 使ったワインはまた瓶に入れ直し持ち帰ります。ちゃんと袋も用意されていました。


試験会場を出て すぐにお手洗いに走りました。

紙を入れた右ポケットが気になって仕方がないのです。


右ポケットからキャップシールとくしゃくしゃになった紙がちゃんと2枚出てきました!


どうやら準備の時に紙がくっついて3枚取っていたようです。


あー ちゃんと拭いてた よかったー。


手はまだ震えていました。


お手洗いでこっそり泣きました。



↓実際の試験で使ったワインです。


こちらは数日後 スペアリブの煮込みに使い晩御飯で美味しく頂きました。

記念にエチケットをとっておこうと思ってましたが誤って瓶を捨ててしまいました。


そんなもんです。


私の長いソムリエ試験は全て終了しました。

とても良い経験になりました。


お読み頂きありがとうございます

比与森恵三子