ロシアがウクライナに侵略してから2月24日で2年になる。
この侵略戦争を気にしなくなった方も少なくないのではないだろうか。
読売新聞の取材によると、ウクライナ軍は、ロシア軍との圧倒的な戦力差で、苦境が続いているらしい。
南部ヘルソン州ドニプロ川の渡河作戦は、まさに『背水の陣』というような戦いだという。
「前方は兵力100倍の露軍、横は地雷原、後方は川。少しも引き下がれない自殺任務だ。」という。
昨年12月末までドニプロ川東岸沿いの村クリンキで戦ったイーホル氏は『最も過酷』とも言われる戦場の実態を語ってくれたそうで、前線で負ったトラウマからか、証言している途中も腹部はけいれんしていたのだそうだ。
クリンキは、ウクライナ軍にとって露軍が占領している地域奪還に向けた橋頭堡で、ウクライナ軍はクリミア半島に通じる露軍の補給路断絶を狙っているそうだ。
昨年6月からの大規模な反転攻勢では南部ザポリージャ州からの突破に失敗しており、新たな突破口として期待されているのだという。
昨年9月、最初の部隊がクリンキ付近に到達した際には、「最大の戦果になる」との高揚感があったが、状況は変わっているらしく、「今は防衛戦。ひたすら露軍の攻撃に耐えるだけだ。」とのことだ。
イーホル氏が初めて渡河に臨んだのは昨年12月中旬で、すでに多数の死傷者が出ていたそうだ。
「家庭に事情がある者は行かなくていい。」と司令官は離脱の機会を与えたが、全員が「苦楽を共にした部隊は家族と同じだ。」などと固い決意だったという。
東岸には約1万人の露軍兵士が待ち構え、深夜、6人乗りの小型ボートで1時間かけて渡るが、半分ほど渡ったところで露軍に気づかれ無人機攻撃や砲撃が始まるのが通例だったそうだ。
川岸には大量の地雷も敷設され、3隻に1隻は到達できないという。
イーホル氏の耳には、70メートル先にいる露軍兵士の笑い声や音楽も聞こえてきたというが、露軍の突撃部隊「ストームZ」の兵士が「ゾンビのように次々と襲ってくる。」かもしれないため、少しも気を抜く事はできないのだそうだ。
両軍部隊がにらみ合う境界線一帯には、露兵の遺体が積み重なったまま放置されているそうだ。
攻撃は地上だけではなく、露軍が放つ砲弾や銃弾の数はウクライナ軍の約10倍に上り、無人機の運用パターンも多様化させているそうだ。
ウクライナ側の陣地に無人機を着陸させて、搭載しているカメラで監視し、兵士が近づくと爆発させる手法なども行われているらしい。
さらには、クリンキに1か所しかない水飲み場の上空では、常に無人機が目を光らせるという。
最もつらいのは、本来助けられたはずの仲間も救えないことだという。
負傷者の搬送手段もボートのみのため、負傷者が複数いれば優先順位を決めざるを得ないのだそうだ。
昨年12月に迫撃砲で負傷した同僚も、手当てが遅れボートの上で死亡したという。
「死を覚悟し何度も人生に別れを告げた。神に祈ることしかできない。」こんな凄まじい状況で、イーホル氏は今なお、後方の基地で再度の出撃命令に備えているというのである。
立場が違う為、この侵略戦争については様々な意見を持つ方がいると思うが、日本はもとより世界中の多くの方がこの戦争について気にし続ける事が必要だと思うし、そうし続ける事が大事な事だと思う。