北朝鮮当局に約4ヵ月半拘束された経験のある米国人ジャーナリストが、日本人拉致問題を題材にしたドキュメンタリー作品を制作したという。
拉致被害者の曽我ひとみさんを含む日米の関係者16人を取材し、問題の概要から直近の状況まで理解できる内容に仕上げたということのようだ。
今月10日に英語版・韓国語版が発表され、関係者からは「海外で拉致問題の理解が広がる。」と期待の声が上がっているとのこと。
米政府系メディアであるボイス・オブ・アメリカのサイトなどで発表された27分の映像作品『ペイン・ウィズ・ノー・エンド(終わりのない苦悩)』には、被害者家族や支援者のほか、加藤勝信拉致問題担当相や学者、新聞記者など多方面の関係者が登場し、それぞれの証言を基に経緯を振り返る内容になっているそうである。
制作プロデューサーのユナ・リー氏によると、取材は昨年秋に開始されたという。
トランプ大統領の就任直後から、日本側が拉致問題に関する働きかけを再三行う姿に関心を持ち、「これだけ時間の経過した問題が、なぜ日本政府と国民にとって今も重要なのか明らかにしたい。」と考えたそうだ。
ナレーションや劇的な音楽を一切挿入しない演出には、リー氏自身が取材中に北朝鮮に拘束され、自らの意志と関係なく家族と生き別れた経験が反映されているそうだ。
「当事者の思いは、他人のどんな言葉や文章でも表現するのが難しい。」と実感しているそうで、代わりに『話す』のではなく、事実をそのまま『伝達』することを心掛けたそうだ。
救う会の西岡会長は「取材を積み重ねたことがよく分かる作品だ。問題発生当時だけでなく、現況まで伝えてくれる海外作品は他にない。」と評価しており、「影響力のある媒体で発表されており、日本の立場について海外で理解が進めば…。」と期待を寄せているという。
作品は動画サイトのYouTubeの『ボイス・オブ・アメリカ』チャンネル(https://www.youtube.com/watch?v=o2i_u8y8GJM)などで公開されているそうだ。
