米国、英国、カナダ、ノルウェー、フィリピン、日本、ブラジル、南アフリカ、トルコ、レバノンなどの専門家らが署名したこの公開書簡は、ブラジルでジカウイルスの影響を2番目に強く受けているリオデジャネイロでの五輪開催は無責任で非倫理的だと述べている。
さらに「私たちが懸念を強めているのは世界的な健康問題のためだ。」として、「世界中から五輪に来た50万人の観光客がジカウイルスに感染した恐れがある状態で帰国し、各地でジカ熱をまん延させるかもしれないという無用なリスクをもたらす。」とし、「このような事態が今のところジカ熱が発生していない貧困国で起きれば大きな苦しみが生じる恐れがある。」と主張している。
至極当たり前の心配である。
ジカ熱は、頭部や脳が異常に小さい小頭症などの出生異常を引き起こす恐れがあり、ブラジルでは蚊が媒介するジカ熱がはやり始めた昨年以降、先天性異常を持って生まれた子供が1300人近くに上っているそうである。
WHOと米国の公衆衛生当局は、ブラジルへの渡航者に蚊に刺されないよう対策するよう呼び掛けるとともに、妊娠中の女性はリオデジャネイロを含め、ジカ熱が流行している地域には行かないよう勧告している。
一方でWHOは今月に入り、リオデジャネイロ五輪とパラリンピックの会期はブラジルの冬季に当たり、蚊に刺される可能性は低くなるとの見方を示していた。
また米疾病対策センターのトム・フリーデン所長も、五輪を中止、あるいは延期すべき公衆衛生上の理由はないと述べた。
はたしてこれは正論なのであろうか?
時節柄、蚊に刺される確率は下がるかもしれないが、確率は下がっても刺されてしまえば同じなのである。
今からオリンピックの開催を中止する事ができるとは思えないが、ジカ熱ウイルスを全世界にばらまく事になったら誰かが責任をとる程度で済む事ではない気がするのだが…。