※直木賞受賞作品「下町ロケット」書評、前回の「Lift off」の続きです。
取引先のエゴによる大型契約の急な失注に伴い、逼迫する資金繰りにあえぎながらも、
技術力の結晶である高い品質を持つ知的財産を戦略的に用いて駆け引きを進める。
ビジネス的取り引きより、社長の夢と社員の誇りを高く掲げ、
メーカーとして大手と渡り合い、国家プロジェクトの一翼を担い、そこに自らの夢を重ねる。
メインバンクや取引先との不和、訴訟による信頼の低下など、様々なトラブルに見舞われながらも、
知財を巧みに駆使した経営者の仕事に対する熱意が、夢の実現へと会社を導きます。
技術者としての矜持と、経営者としての矜持。
挑戦を続ける「佃品質、佃プライド」が、著者の筆力によって力強く推し進みます。
個人的に、エピローグ的に進むエンディングよりも佳境となるのは、
ロケットへの部品供給契約へ向けたテストに臨む、第五章「佃プライド」、第六章「品質の砦」
読後感は爽快で、まぁそれがあまりに綺麗でスッキリとし過ぎている感もありますが、
胸を熱くする物語のピークには、思わず泣いてしまいます。
夢を追う人、クリエイター、ベンチャー起業家、そして全てのビジネスマン…
野望と希望に満ちたあらゆる人が読むべき、心に留めておきたい感動の作品です。
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隠れ家的スタバ(?!)で一気に読破。
改めてやっぱり、直木賞って凄い…