8月に入り、暑く熱い夏は本番を迎えます。
そんな本日は、書評家を気取ってオススメの書籍をご紹介です。笑
人類の歴史上での様々な条件下における、感情の動きと進化にフォーカスし、
古来からの心の仕組みを探る1冊「人は感情によって進化した」(石川 幹人 / 著)
「草原由来の心」と「ジャングル由来の心」に区別される「野生の心」を発展させることで理性を培い、
狩猟採集時代にふさわしい感情を身につけたまま、その働きをもって現代の文明社会を生きています。
そんな「野生の心」と、文明発祥以降に培われた固有の心が加わった「文明の心」とで、
進化心理学をもとに人類を生き残らせた感情の秘密の、圧巻な解析が楽しめます。
「なぜあの時にああいう風に感じ、ああいう行動を取ったのか」というような、
感情的で自分でも理解できないようなことも、全ては心の仕組みと感情の動きにつじつまが合う。
人類進化の途上で養ってきた環境への適応能力と、そのために必要だった群れと集団の不思議。
そういうことなら納得がいくなと、進化のあらゆる仕組みの奥ゆかしさに感嘆させられます。
「愛情と友情」「嫉妬と後悔」「自己呈示欲と承認」「名誉と道徳感」などの観点から、
生きのびるのに必要な機能として複雑に進化した感情の働きを明らかにします。
遺伝情報を淘汰し、生き残りに成功し続けてきた結果として今を生きている私たち。
進化のプロセスと生物としての歴史、心の働きの共通性や多様性を分析した本書。
進化論的な見地で楽しむサイエンス書ですが、環境変化に耐える強さや対応力、
組織やコミュニケーションのあり方という点で、現代を生きる指針に生かせる1冊になるはずです。
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ディスカヴァー・トゥエンティワンの携書シリーズ。
読みやすいサイズにかわいいカバー。