$hashikawa's blog


先月半ばまで六本木国立新美術館で開催されていた、「オルセー美術館展」へ行ってきました。

ゴッホ、ゴーギャン、モネなど、「美術の教科書で見たことある~」という、
日本人にも馴染みのある画家たちの名画を展観する今回の展覧会。

「これらの絵画がまとめてフランスを離れることは2度とない」と、フランスのサルコジ大統領が話す、
オルセー美術館で大規模な改修工事が行われる期間を利用して開催される、空前絶後の世界巡回展です。

印象派イヤーと言われる今年は、「Casa BRUTUS」「pen」「芸術新潮」などでも大きく特集が組まれ、
関連する様々な展覧会が各地で賑わいをみせています。


「無知の知」を理念に据えた意欲と、純粋な好奇心で訪れた今回。
「美術鑑賞は永遠に素人」と、ある種の落胆を味わいそうな程に悠久の魅力は奥が深く、
荘厳で優美な名画の数々が持つ、脈々と受け継がれる精微に昇華したエネルギーは、
感得することはまだまだ難しいと感じる、群を抜く秀逸さでした。


僭越ながら個人的な感想を述べると、ゴッホの「星降る夜」にググイと惹かれましたね。

「吸い込まれる」「引き込まれる」とかの陳腐な言葉しか出てはきませんが、
そんな形容を必要としない強大な包容力で、館内の混雑が一瞬まるで気にならなくなる程に、
鑑賞者の時間と空気を瞬時に支配する圧倒的な存在感。

相反する矛盾のような表現ですが、「力強い優しさ」を感じた作品でした。


駅舎を改装したパリのオルセー美術館そのものにも当然の流れで惹かれる中、
改装工事が終わったら現地へ是非行きたいなと、密かな野望に火がついた、
感性の扉をバッキバキに開いてくれた今回の鑑賞でした。


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pic.
波のようにうねる曲線を描く外観が美しい、
黒川紀章氏の設計による国立新美術館。