今日は4週に1回の乳腺外科の診察日だった。午前9時半の予約で8時半に家を出た。夜中に降った雨は上がって、真夏の太陽が照りつけ、日傘を差していてもジリジリと暑い。バスに乗り、終点のK病院には9時15分に到着した。バスを降りようとすると、杖をついたおじいさんが足元がおぼつかないらしくなかなか降りれずにいる。乗客は皆降りてしまい、他に誰も居なかったのでおじいさんに手を貸し、なんとかバスから降ろす。かなり足が悪いらしくなかなか前に進めずヨチヨチ歩き。2、3cmずつしか前に進めない。放っておけずにおじいさんの荷物を持ち腕を組み手を握って支え、一歩一歩前に進む。横断歩道を渡らなければならないがあまりに歩みが遅いため、当然信号が途中で変わる。手を上げて車を止めてもらいながらやっとの思いで横断歩道を渡りきった。以前はバスが病院の構内まで入って行ったが、現在は改修工事中の為、反対側の道路で降ろされてしまう。おじいさんに「整形外科を受診されるのですか?」と尋ねると「そうです。」と言う。「ご家族は付き添ってくれる方はいないのですか?」と訊くと「女房は心臓が悪くて付き添いはできない。子供は離れて暮らしていて、歩けるんだから大丈夫でしょ、と言う。」と答えた。色々尋ねてみると10年ほど前から足を悪くして、両足の裏がしびれていて感覚がなくて宙に浮いているような感じで、膝も痛いとのこと。障害者手帳は持っておらず、介護ヘルパーのお世話にもなっていないとのこと。どう見ても介助者が必要なのに…。整形外科は本館よりも遠い仮設病棟の1Fにある。おじいさんを支えながらゆっくりゆっくりと仮設病棟へ向かう。途中、息が上がり、腰が痛くなり、へばりそうになりながらも何とか歩みを進めた。ようやく病棟の正面まで来たところ、警備員の人が駆け寄ってきて、「大変だから車椅子をお持ちしましょう。」と言って車椅子を持ってきてくれた。もうわずかの距離だったがゆるいスロープになっていたので助かった。おじいさんを車椅子に乗せて受付に到着。おじいさんに荷物を渡し、整形外科の待合のソファーの横に車椅子を止めて後は病院スタッフの人にひきついだ。自分は2Fにある乳腺外科の受付へ向かう。バスを降りてから、25分もかかってしまい、予約時間に10分遅刻してしまった。


 10時頃呼び出し受信機が鳴り、診察室へ。主治医のS先生はなかなかのイケメン。36歳だそうだ。小泉孝太郎に少し似ているがもっと渋くてハンサム。先生の方から話を切り出した。「この前の血液検査でクレアチニンの値が高いですね。右肩上がりに上がってます。腎不全が悪化しています。いつも行なっている骨転移の治療薬ゾメタは腎臓に負担をかけるので、しばらく中止して様子をみたいと思います。この前、整形外科を受診されてレントゲンを見るかぎり、今のところ切迫骨折の危険はないので、しばらくゾメタを中止しても大丈夫だと思います。他の乳腺外科の先生5、6人とも話し合った結果、そのような方針で決まりました。ゾメタは1回点滴すると成分が骨の中にずっと残っていて、半年くらい効果が持つそうです。欧米では半年に1回くらい投与する方向になってきているようです。日本では今のところ4週に1回くらいのペースで投与していますが、やがてもう少し間を置くように変わってくると思います。」との事で、今日処置室で行なう予定だったゾメタと採血は中止になってしまった。私の乳がんは骨転移・肝転移・肺転移しているが、抗がん剤ファルモルビシンの副作用で心不全を起こし、強心薬で治療を続けているが心臓の機能は回復せず、以後、他の抗がん剤治療もホルモン療法も受けることが出来なくなっている。これで最後の頼みの綱だったゾメタも中止せざるを得なくなってしまった。心に淋しい風が吹く。血液検査の他の結果は、BNPの値が高い。(心臓の具合が悪いと上がる数値。正常値上限は18.4pg/mlだが、540pg/mlもある。100以上だと心不全、入院してた頃の数値は1000以上だった。)腫瘍マーカーはほぼ横ばいだったが、ほんのわずか上昇。抗がん剤治療CEF療法を終えて7ヶ月が過ぎたが、先月までわずかずつでも下がっていたのが、今回から上昇に転じた。いよいよ抗がん剤の効果が切れてきたのか…?このまま上がり続けていくのが怖い。私の方からは、「ここのところ症状が落ち着いていて痛みも楽になり、元気に過ごせています。」と報告。10分ほどで診察が終了。次回の予約を入れてもらい、痛み止めオキシコンチンやボルタレンSR、痺れ止めのガバペン、胃薬ムコスタ、緩下剤マグミット、睡眠導入剤レンドルミン、アレルギー止めアレナピオンなどを4週間分処方してもらう。診察券を受け取り、会計を済ませる。今日は診察費と薬代だけで合計12280円。普段ゾメタと採血をすると25000円くらいするので大分安かった。抗がん剤をやってた頃は50000円以上取られてたから随分な違いだ。院内薬局で薬を受け取って帰宅。11半には家に着いた。乳がんはとうとう無治療となってしまった。あとは自分の身体の免疫細胞がどれだけ頑張ってくれるかが勝負だ。ストレスや疲れを溜めないようにこころがけよう。睡眠はたっぷり取ろう。食事は野菜や果物、大豆製品を多く取り、塩分、油分、糖分を控えよう。いつも楽しく過ごそう。



 今日の天使とのコンタクトは、家に帰ってからやろうとしたが、疲れているのか集中できず何も聞き取ることはできなかった。


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