地域防災計画に女性の視点を! | 権力とマイノリティ

地域防災計画に女性の視点を!

「地域防災計画に女性の視点を!」
反映させるためには日常から政策・方針決定の場に女性が多く参画していること

女性と災害ネットワーク埼玉 




 私たち「女性と災害ネットワーク埼玉」は、東日本大震災のあと1カ月後に発足。震災後に、さいたまスーパーアリーナに福島から避難して来た人たちに対する市民団体の支援活動や埼玉県男女共同参画センター(With Youさいたま)が、支援に係わったことを知ったことがきっかけだ。
 さいたまスーパーアリーナや埼玉県内で避難所になった旧騎西高校で、女性支援をしている人のヒヤリングを行い、その後ボランティアサポートにも入っている。また、災害と女性に関する情報交換を行っている中で、埼玉県の「地域防災計画」見直しが行われることを知り、そこに「災害とジェンター」の視点を入れるためにどうしたらよいのかと、7月8日に「どうなっているの?埼玉県の地域防災対策」集会を開催した。

 埼玉県は男女共同参画プランが改定期であり、そこに「女性の視点に立った災害対策」の項目が、急遽入ることが分かり、やはり「地域防災計画」そのものの検討が必要ではないかということで「埼玉県地域防災計画」と「さいたま市地域防災計画」を読んだ。県の地域防災計画は広域的で抽象的な印象があり、避難所設置や自主防災組織などは基礎自治体の管轄であり、具体的な防災のイメージがつかむために、さいたま市の地域防災計画に目を通した。

 地域防災計画の見直しに係わる県庁内のワーキンググループが夏に立ち上がった。見直し項目は「帰宅困難者対策」「備蓄物資見直し」「放射性物質対策」「避難所の設置運営」「災害対策本部体制」の5つである。私たちネットワークは、9月に地域防災計画の担当課である消防防災課と男女共同参画課に対し、行政請願を行った。内容としては、災害とジェンターの視点を取り入れるために「計画の方針・決定過程への女性の参画を30%以上に」「災害や復興の実態を把握するためにジェンダー別の統計をとること」などを要望した。その後、県議会に対しても同様のロビー活動を行った。


 現在、地域防災計画改正に関するパブリックコメントを募集中であり、改正内容が県のホームページに公開されている。改正項目はワーキンググループが立ち上がった5項目で「女性の視点」が入ったのは「避難所の設置運営に関する改正」だけである。「女性に配慮した避難所運営を行うため、運営組織には複数の女性を参加させるように配慮」「災害時要援護者や女性に配慮し、男女別更衣室、男女別トイレ、授乳場所等の設置に努める。また、女性に対する相談員の配置や相談窓口の開設にあたっては男女共同参画センターや民間団体の活用」「必要物資:女性用下着、生理用品などの衛生用品。妊産婦:マット、組立式ベッド」「性犯罪や配偶者間暴力等を防ぐため、避難所には、女性相談窓口を設け、女性相談員、福祉相談員を配置若しくは巡回」などである。


 請願行動の際に「地域防災計画の見直しに係わるワーキンググループ開催の概要」という資料を手に入れたが、女性メンバーの比率は平均16・2%で、「避難所の設置運営グループ」は31%。そこで私が推察するのは、避難所の設置運営に女性の視点が反映されたのは、政策・方針決定の場に女性が多く参加していたからではないだろうかと言うこと。今回の改正は5つの課題だけの改正であり、「総則」などには手を付けないようなので「政策・方針の決定の場に女性を30%以上」というのは、今後の課題だ。