統合療法が認知されるために、考えなければならないこと | 権力とマイノリティ

統合療法が認知されるために、考えなければならないこと

◆メディア・ウォッチャー@谷口 今日いちばん気になったニュース
 それは、糖尿病の少女がインスリンも打たずに、新興宗教の教祖に騙され、そのために殺され、両親が裁判を起こしたいうニュースだ。
 小児の糖尿病は、成人の肥満などが原因の糖尿病とはまったく違う型の病気であり、インスリンはその子どもにとっては、まさに命綱の薬物療法である。テレビニュースを見ていたが、その少女の主治医はいったいどういう対応をその子どもや家族にしていたのか、それがとても気になった。

◆現代医療と代替療法のきわめてむずかしい関係
 インタビューに答えていた母親のニュース映像を見た、単なるわたしの推測だが…。
 親は子どもを糖尿病の専門医に受診させており、現代医学的な治療はきちんと行っていたようだ。
◇疑問その1 その主治医と治療に関して、いろいろ相談できる関係がつくれていたのだろうか? 
 日本の現代医学は西洋医学が基本であるため、多く医師たちは、東洋医学を始めとする代替療法について、大変に無知であるといわざるを得ないのが、今の日本の医療界の実態である。
 親が子どもに代替療法を受けさせてみたいと相談したとき、その医師はどんな反応をしたのだろうか。

◇疑問その2 「次世代ファーム」を訪れるときに、親は故意にインスリンを持参していなかったのは、どうしてなのか?
 代替療法は、ホントに玉石混淆なのが実態である。高ければ高いほど、価値があるという「迷信」が患者の側に蔓延していることも事実だし、そこにつけ込む「業者」も少なくない。適正価格というものを、医療消費者が判断する基準を持ち得ない、そういう現実もある。
 極端に高額な健康食品を使えば、西洋医学とは縁が切れる、と強要されていなかったか。それなりに適切な現代医学的な治療を受けているにもかかわらず、「わたしを信じなさい」と言って、新興宗教的、あるいは、自己啓発セミナー的に、現代医療の継続を絶つことを強要されていなければ、親はインスリンを持参していたのではないか。

◆親の英断と第三の道の選択
 にもかかわらず、両親が「次世代ファーム」を提訴したということは、そうしたさまざまな葛藤を経ての決断だったのではないか。そうわたしには思える。裁判の行方はとても気になる。が、そうしなくてもよかった第三の道はなかったのか。子どもに現代医療と代替療法を統合して、受けられる可能性はなかったのか。それがわたしには大変気になるのだった。
 
【死亡少女の両親、「次世紀ファーム」を提訴 賠償求める】
 朝日新聞 2006年01月18日
http://www.asahi.com/national/update/0118/TKY200601180415.html?ref=rss
 岐阜県恵那市の自然食品農場「次世紀ファーム研究所」で昨年7月、泊まりがけで訪れていた神奈川県内の中学1年の少女(12)が死亡したことをめぐり、少女の両親が18日、同研究所の代表らを相手に、計約1億円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。
 訴えなどによると、少女は母親に連れられて昨年7月15日、同研究所を訪れ、母親は16日に自宅に戻った。18日、同研究所から少女の呼吸が停止していると119番通報があり、少女は病院に運ばれたが死亡が確認された。少女は小児糖尿病で、インスリンを毎日投与する必要があったが、同研究所を訪れた際は持参しなかったという。