
前巻までは皇帝ヴェスパシアヌスが内乱を収め財政健全化を果たしたところまででした。
23巻の主人公はヴェスパシアヌスの息子たち。兄ティトゥスと弟ドミティアヌスの二人の皇帝です。
ポンペイの遺跡で史上有名になるヴェスビオ火山の噴火は、ティトゥス在位の時に起こりました。ヴェスビオに近い、ティエリア海沿いの都市はことごとく火山灰や火砕流の被害を受けます。とりわけヴェスビオの南麓10キロに位置するポンペイは火砕流と火砕サージ(硫黄などのガス)によって逃げられなかった住民の命を瞬く間に奪いました。
小プリニウスの名で知られる政治・学者は伯父の大プリニウスをこの火砕サージで失ったそうです。その人の手紙によれば、外傷もなく眠るようにして息を引き取っていたそうです。
ポンペイに残る遺跡では、身をかがめ苦しんだ様子が窺える人体の石膏が置かれています。家族がひとまとまりになっていた形跡も発掘されています。
時の皇帝ティトゥスは噴火後直ちに現地に災害対策本部を設置し自ら陣頭指揮を努めました。脱出できた人も少なくはなかったそうで、初期に逃げる決断をできたかどうかが道を分けたそうです。善き皇帝たらんとするティトゥスは救助復興に力を入れました。
しかしポンペイでは4メートルも積もった火山灰が噴火翌日の雨で固まってしまったのだそうです。救助などは当時の技術では何ともならず、このまま2千年の時を土中で過ごすことになります。
それゆえに当時の街並みや人々の生活を窺い知ることのできる貴重な遺跡になるのも皮肉な話です。
ポンペイは私も見学したことがありますが、生活感にあふれた、ヴェスビオ山を望む景色の美しい街でした。
またローマではヴェスビオ噴火に続いて大火が発生。ティトゥスはこちらの対応にも奔走します。そして息が切れたように皇帝は死んでしまいます。40歳そこそこの早い死でした。
後継ぎのドミティアヌスは、軍事戦略上重要な対ゲルマンの防壁を築いたり、公共建築、道路整備などヴェスパシアヌス以来の財政を維持しながらも帝国の運営に力を入れます。しかしながら、身内に暗殺される結末を遂げてしまいます。
続いて推挙されて皇帝となるネルヴァから、有名な五賢帝時代に入ります。
楽しみです
