私はあまり、メロドラマのような男女の愛情を描いた作品に感情移入するコトが難しく、とはいえそれなりに作品を観ては「うーん
」という感じでいるコトがほとんどです。しかし、時折その「うーん」の中にも自分にとって得体の知れないものが染み入ってきて、心をザワつかせる作品があって、それが今作です。
殺人事件を調査する真面目な既婚の刑事と移民の過去を持つ夫殺しの容疑者の女性との、恋愛と言うにはもっと深い感情の動きを描いている作品で、禁断の愛などという言葉では軽薄過ぎるものを感じます。主人公の刑事が自分の愛情を吐露する言葉「私は壊れてしまった」という一言がとても印象的で、世界観の中心であり分岐点にあるあのシーンはとても素晴らしかったです。そして最後を迎えるシーンの悲しさといったら。
多くの作品を体験したいと思う反面、加齢などを言い訳にその量も減ってきた私にとって、極上の体験のひとつでした。