アリ・アスターの過去作と同じく、理不尽に主人公が痛めつけられる様がホアキン・フェニックスによって演じられる作品です。ひどい目に主人公が遭い続けることで、どこかで行き過ぎてしまってコメディにも感じてしまうトコロがあります。今作も母という絶対的な存在に真摯に向き合おうとする、母の元に早く辿り着きたくても何をやっても何者かの力で上手くいかない。私はそこに夢野久作の『ドグラ・マグラ』を想起したのですが、どうやらユダヤ教的なものが根幹にあるようで、そのへんは過去作に似たトコロ、つまりはアリ・アスターという監督の作風なのかもしれません。