イギリスの貧困層に着目した、ということでは同じケン・ローチ監督の『わたしは、ダニエル・ブレイク』を思い出しますが、邦題を考えれば家族の話ともとれますが、真実は労働者階級の現状を映した作品。原題の『Sorry, We Missed You(残念ながら不在につき:不在票に書かれている言葉)』の方が皮肉があって良いように思います。ゼロ時間契約と労働者階級からの没落とを描いていて、仕事をしなければ家族は養えないけれども、やはり一緒に過ごす時間がなければ家族としては崩れていく、という悪循環が凄まじい。楽しいピクニックに来たつもりが、いつのまにか断崖の続く岩山に迷い込み、少しでも油断すれば崖下に落ちてしまう。戻ることもできず血と汗と涙にまみれながらも前に進むしかないが、その先に何があるかもわからない。

ノルマとリスクとペナルティで身動きを封じる雇用関係と、その中で家族の崩壊をどうにもできない。イギリスの話ではあるけれども、日本でも同じような雇用契約は進みつつあり、そういう現実を見るコトができる人間は結婚も子育てもできないというコトは明らかと思えることでしょう。社会を形成する最小単位である家族というものの幻想を騙り、雇用側のリスクを排除して労働者側のリスクを考えない雇用形態を推し進めるのは、今の日本で行われている政治の形かと思います。