今年の一番と言って良いと思います。伊集院静さんの原作で、それを丁寧に映像化した素晴らしさ、それも子どもの成長を見事に捉えた映像には感動で震えました。泣く映画ではあるものの、強い衝撃で言葉も涙も出るどころではない、感動が私の体中で駆け巡った感覚です。

話としては『銀河鉄道の夜』なんだと思います。子どもが死という喪失感を受け入れること、生きている自分は歩き続けなければいけないことを学び成長していく、そういう話です。それを主役のサヤカの視点だけで時間の流れを大切にゆっくりと、そして時には幻想的に美しく撮っている印象です。
その中で、サヤカ役の新津ちせちゃんの演技力は素晴らしく、自然な子どもらしさと子どもが大人に対してみせる演技っぽい子どもらしさと、見事に使い分けが出来ていて、良い子でいようとしている雰囲気は素晴らしい。丁寧に時間をかけて準備され撮られた新津ちせちゃんと犬との関係性も一緒に暮らしていたからこその雰囲気が出ている。そして、ひたすらに演技としても人としても寄り添い続けた笈田ヨシさんの演技も優しく温かく、受けた喪失感とそこから先へ歩き出す少女を見守ってくれているのが伝わってきます。

時間を掛ければ良いワケではなく、どう時間を掛けてきたかが大事だと思うのですが、この作品はそこを丁寧に丁寧にして作品を大事にしてきたからこそ、これだけ素晴らしい作品が出来上がったのだと思います。