瀬々敬久監督らしい映像の展開で、短編小説集から2編を上手く組み合わせ、人と人との繋がりというものを問うてくる作品になっていると思います。物語の根幹にある人間社会が抱え続ける深淵を覗いているような感じです。しかし、深淵を覗く者はまた深淵に見られているワケで、観客は作品に囚われ自らの闇を覗かざるをえないようにも思います。
自分以外の誰かを悪者にして、社会や被害者の健全性を保とうとするワケですが、果たしてそれで本当に健全性が保てるのだろうか、と。作品の最後、失踪した少女の祖父が零す言葉にこそ、その浅ましさであり、少女と最後の時間を過ごした紡の想いこそ、本当の救いがあるように私は考えてます。