ブラッド・ピット演じるロイの独白で話が進んでいく物語ですが、彼は非常に内向的で他人との繋がりを保てず、また自分に課した“平穏さ”から、展開がとても退屈に感じてしまうようにも思いました。SFもの、とくに宇宙に向かって旅立つ作品の中では、スター・トレックのような冒険譚もあるのですが、今作は外に向かうに従ってロイの身の回りから内へ内へと向かって行っているような印象でした。

しかし、そこはブラッド・ピットの演技の凄まじやたるや。彼の言う“抑えた”演技の中での微妙な変化やセリフの持つ重さが、劇場という暗闇に囚われた観客にとってはきっと、その虜になり共感を得るに違いないと思います。

また、観ていて個人的に思い起こすものは『月に囚われた男』や『ファースト・マン』というSF作品の他、同じくブラッド・ピットの主演作である『ツリー・オブ・ライフ』のような家族のあり方を問うようなものもありました。孤独な主人公とそれを取り囲む静かな宇宙と、中心に家族や恋人、社会における自分という人と人との繋がりであったり、これからの人たちに伝えていくものとの対比のようなものを感じたように思います。