邦題のサブタイトルはいらないな、と思うところですが、おおよそ内容には合致しているので見なかったことにしようかと思います。

 

作品的には割と普通ではあると思います。母が早くに亡くなって、父娘との生活も順調だったのが娘の大学進学にあたり、子離れのできない父の思いと父といる小さな世界から飛び出して好きなことをやりたい娘とのドラマ。映画ではありふれている内容ではあるけれどもLGBTの問題に切り込むこともなく、当たり前にそれが社会通念として指さされることなく受け入れられているのは、新鮮だったかもしれません。そこでもうひとつネタを仕込んで話しを複雑化するのがドラマチックであり当たり前に思っていた私にとっては、非常にシンプルにテーマを心地よい音楽で演出したこの作品には心を打たれました。

なによりも少ない登場人物のキャラクターが全体的に良く演出されていると感じました。娘のサムをはじめ恋人のローズであったり、父の店の大家であるレスリー、母(サムからは祖母)のマリアンヌと、女性キャラクターはチャーミング。対して父親である主人公のフランクブや友人のデイヴたちは遊び心がある楽しい雰囲気がよく出ています。ルックリンの風景の中でキャラクターたちは、作中に作られていく曲のように優しく人々を包み込むかのようで、温かい気持ちにさせられました。