タイ産のエンターテイメント作品という感じで、とてもクオリティの高い映像演出ですが、それでも特殊な技術ではなく撮影と編集とで努力している感じを受けます。貧富の差と学歴社会という今のアジア圏では多くの国が社会問題として取り組んでいかねばならないテーマを、テストのカンニングというエッセンスで切り取った面白い作品でした。
しかしながら、ストーリー的な部分で言えば、後半のグダグダな展開はいただけない。前半部分に貧困による学歴社会の問題を叩きに来ているのに対して、最終的にはそれを掬いきれずに終わってしまった感は強いと思います。あれだけ金持ちに対するコンプレックスを感じ牙を向きつつも迎合して上手いコト生き抜いてきた主人公が、最終的に友人との決別を選ぶ際の演出の軽さと言うかスッキリしない終わりがどうも引っかかりました。
カンニングというクライム・アクション的要素を中心とするならば、もっとカンニングの方法で面白味を持たせてそこを中心に描き、エンターテイメントとして昇華すれば良い。しかし、本作はカンニングという手段を取ることで社会問題に対する批判を持たせたために、そこはある程度削ぎ落としてむしろクライム・サスペンス的に話を立てていたと思います。そういう伏線を指定ながら、最終的には爽快感がなさすぎる中途半端さが、期待はずれな気分になってしまいました。