パッと見はもはやありきたりなサスペンス・ホラーとかパニック・ホラーの類に感じると思います。古くは『プレデター』のような作品があり、私的にはマット・リーヴスの『クローバーフィールド/HAKAISHA』以降、驚異的な外来生物や超人的な能力をもった人間を用いたホラー作品のひとつのジャンルとして確立された感じがあります。対象の姿を直接見せることなく、にいかにそこから恐怖を引き出すか、というような手法が作品の面白さにつなげてくる、といった感じです。

 

その中で今作が面白いというのは、喋るコトができないという極限状態が長い時間続いているという点があまり他に見ない演出になっています。この手の作品ではその状況に追いやられた短い時間、それも一日とか一晩とか、そのくらいがほとんどの中、始まった時点でもう随分と時間が経っている。その上、その後もすぐに一年という時間経過があります。

これの意味するところが作品の肝になっていくると思います。喋れないというコトが続いている意味、それは声を上げて何かを言おうとすると殺されるという恐怖、つまりは独裁政権への批判とも取れると思います。声を上げ何かをしようとすれば、瞬時にそれを暴力でもって抑えにくる、というメタファー。それが謎の外来生物の正体なのでしょう。ズバリ言えばトランプ政権などに対するアンチテーゼのようなものでしょう。

そこで物語の中心になってくるのが、それに対する主人公家族の決意。喪失の中に手に入れた新たなる希望と着実にそのために準備を進めているところに家族の決意の強さを感じます。そして最後に出てくる強力な希望の光と家族の勇気がとても眩しく感じるところです。

 

言ってしまえば、トリック的なところでは安易に予想のつく伏線が散りばめられてはいます。なので、最後に起こることはおおよそ予想がついてしまうところではありますが、上記のようなメタファーに気がつくと、この作品の根底にある漲る力強さには感服するところです。