ヘンゼルとグレーテルに喩える意味が観ていて分かるように思います。貧しい木こりの夫婦は、その貧しさからまだ子どもの兄弟を森に捨ててくる、つまりは親が子育てを放棄した先のお話。母が家を出て以来、姉のオラは自閉症のニコデムの面倒を見ながらも、酒に問題を抱える父を支え、それでも家族を食い止めようと社会福祉士と話し合うという、アダルトチャイルドを描いている。
彼女が生きていく上で、やはり家族は切り離せないという思いが詰まっている。原題の“Komunia”は聖体拝領を意味し、弟の初聖体式がひとつのピークを迎える。そこで見せるオラの笑顔の素晴らしさたるや。彼女が本当に願っている家族の形がそこにあるけれど、でもそれは叶わない。
今作の監督、アンナ・ザメツカのインタビューもネットにいくつかあったので読んでみたのですが、彼女がここに込めた想いは何だったのか。映画を観てインタビューを読んだ今も、深い森を彷徨うような思いです。財宝を持って帰ったヘンゼルとグレーテルは果たして、幸せな生活を手に入れるコトができたのか。『フロリダ・プロジェクト』でも書きましたが、私の希望と現実との乖離を感じるところです。この日本語のタイトルを決めた配給元の代表、武井みゆきさんが「オラとニコデムに祝福がありますように」と想いを込めたように、私も彼女ら姉弟に多くの幸が訪れることを祈るばかりです。