直近の作品だと『スリー・ビルボード』に似ていると思います。失った家族を思う母を中心に、正義を考えさせられる。そして、最後の決断の是非を観客に投げかけてくる。

わかりやすく3章立てにしたのはとても良いと思いました。家族、裁判、最後の決断とそれぞれにカティヤの人間性を掘り下げる形でしょうか。主人公は必ずしも正義の人間ではないし、かといって不幸に陥れられるような理由もない。テロに巻き込まれることによって、あるべきはずの日常が崩壊し苦しむ。

 

私の考えるところは、2章における裁判の結果が違っていた事によって、果たして3章に起きる結末は変わっていたのだろうか、というところ。事件に巻き込まれ不幸に陥れられ、裁判の結果が被害者遺族の望む形になったとしても、実は心安らかになることはないのだろうと思うのです。裁判の結果はそれを促すひとつの要因にしかならず、最後は各々で解決していかねばならない。たとえ容疑者が死刑になろうとも遺族は死ぬまで苦しみ続けることも考えられるのです。

その上で、この作品の結末はとても悲しい。3章の内容はとても繊細で予想できるものであったとしても、それを目の当たりにさせられることは、とても心臓を掴まれたような息苦しさを感じるほどです。