ジリジリと緊張感を高めてくる演出と、どうにも正解がない結末に恐怖すら感じます。『ロブスター』のようなシニカルな笑いは一切感じることなく、復讐の恐怖がにじり寄ってくる恐怖を観客すら巻き込んでいるようです。ミステリ作品であるならば、マーティンの父の死の原因を追求し不条理な死を回避、ということなのでしょうが、そういう話でもない。

マーティン役のバリー・コーガンの怪演が作品の肝だったと思います。夢にも出てきそうな気味の悪いキャラクターを、特殊メイクなどではなく台詞回しや表情、仕草などで感じられます。そして、それを引き立てる音。荘厳な音楽から効果音的なストリングスの不快な音が作品の緊張感を保ち、最後まで目を逸らすことを許されない面白さを作り上げていると思います。