小説にしろ映画にしろ、物語る時には何かしらの視点から語るしかないワケで、今作はまさかの車からの視点で語られるところが他に観たコトも聞いたコトもなかった。

考えるコトも出来るし、同じ車や列車ならば意思の疎通も出来る。だけれど、ワイパーひとつ自ら動かすコトや人と通じ合えるコトは出来ない。人間の世界には何ひとつ影響を及ぼすコトはない車たちの生きた魂がある世界。神の視点でもなく一人称でもなく、まるで作品を楽しんだ仲間が作品について話し合っているかのよう。

 

何よりも魅力的なのが個性豊かな登場人物と登場車。この表現の良さが心地良い。一般人(車)の望月家と青デミオが事件に巻き込まれ、様々な伏線を回収しつつ物語を収束していく気持ちよさも、伊坂作品のお家芸であり、魅力でしょう。

チョット異質な設定ながらも彼らしい作品で、なかなかの時間泥棒な面白い作品でした。