「女って強くて怖い」というコトしか考えられなくなる作品です。まぁ、主人公のミシェルがかなり特殊だとは思いますが、それでもその周りにいる女性たちも精神的な強さが凄まじかったですね。町山智浩さんはラジオで「コメディですよ。ブラックコメディなんです」と言っていましたが、笑えないですよ、凄まじすぎて(笑)

その、コメディっていう感じはわかるのです。ヴァーホーヴェンが描く女性は常に強く賢く、バカな男たちを弄ぶようなところに面白味があって。だけれどそれだけでは語れない、社会に対する批判がキチンと潜んで顔を覗かせるのがヴァーホーヴェンの映画の凄さだとも思います。

レイプ被害にあっても警察に届けないミシェルの根底に潜むのは誰も、とくに警察は信用しないところ。彼女が幼少期から受けてきた被害、それを気にしない振りをしてきても傷ついて、強く生きなければいけなかったコト。

世界的にもレイプまでいかずとも性的な被害に遭った女性が起訴出来ない理由がココにあるように思います。セカンドレイプなどという言葉でも語られますが、被害にあったことを事細かに説明する、また「そういう格好をしているから悪いんだ」などといった追い打ちかける言葉を浴びせられる現実。こういった現実を作品に浮き彫りにしているのが、この作品なのかもしれない、と考えさせられます。

 

しかし、最後のシーンには感慨深いものがありますね。“あの人”がミシェルに投げかけるひと言、最後にミシェルと歩いていく別の“あの人”。どちらも女性で、そこに男が不在というのがヴァーホーヴェンのこの作品をブラックコメディたらしめる所以かもしれません。