先の『人生スイッチ』のおよそ30分後に観て、なんとも苦すぎるコメディが続いてしまったものだと思いました。たぶん、コメディ……コメディと思いたい、というような内容です(笑
仕事に忙殺されている夫が、妻と2人の子どもを連れてスウェーデンからフランスの高級リゾートにスキー・バカンスにやって来て家族サービスに奮闘する。けれども、2日目のランチを摂っていたレストランで雪崩に遭い、その時に妻は2人の子どもを庇い、夫はその場から携帯を持ってひとり逃げてしまっう。結果的に雪崩自体は大事には至らなかったものの、夫の行動に妻も子どもも疑問を抱き、夫は自ら描く理想との乖離に悩む……
こういったところは、いわゆる男と女の違いで語られているコトで、この描き方がなんとも絶妙。コメディ色は強いものの、家族それぞれの気持ちや関係性の変容が観ていてムズ痒くなる気持ち悪さのようなものを感じさせます。妻が夫に対して急に態度が変わるところや、理想との差に悩む夫の行動、そしてそれに巻き込まれる偶然知り合ったカップル。このバランスが秀逸でとんでもなく面白い作品に仕上がっていると思います。
そして、何度も何度も、執拗なまでにかかるヴィヴァルディの『四季』より『夏』がかかるのが好きです。ヴァイオリンの緊張感のある演奏に「何か起こるのか?」と私も緊張しつつ、それが何度も使われるものだから慣れてきてむしろコメディに感じる。何であったか、「2度目はは悲劇、3度目は喜劇」の言葉のごとく、ほどよい緊張感と笑いがだんだんと心地よくなってきます。
夫が、男が孕むダメな部分に対する危機感を見事に描いた作品だと思います。カップルで観に行くと、それこそ主人公家族に巻き込まれたカップルたちのような空気になってしまうこと間違いなしの表現力が、ひとりで観に行って楽しかったです。