ロマン・ポランスキーの新作で、マゾッホの『毛皮を着たヴィーナス』を元に作られた作品です。主人公がマゾッホを原作にした舞台の女優をオーディションするという設定なのですが、ふたりきりのワンシチュエーションで展開する独特の雰囲気がよく演出されていると思います。
ふたりきりしかいないからこそ現れてくる登場人物の心理描写と、劇のオーディションという設定であるがゆえの現実と劇中劇との転換の落差がとても好きですね。圧迫感のある劇中劇から、ふとした拍子に現実に戻されるつつも劇の息苦しさ残して変わりゆく主人公は、まるで自分のことのように引き込まれてしまうように思いました。
しかしながら、作品で取り上げたかったテーマというのがイマイチ私には消化不良気味で気分の悪さを引きずってしまっています。悪くはないんだけれども、これからどう考えて良いかが掴みきれなかったのです。そこをもう少し、自分なりに攻めていけたら、と思いました。