【まとめ記事】

「登記できたのに問題になる会社」が生まれる理由

――第1回〜第5回の総整理

このシリーズではこれまで、
企業が「悪気なく」「効率的に」進めた判断が、
なぜ後からリスクになるのかを見てきました。

共通するキーワードは、
「登記」「実態」「業法」「契約」「名義」です。

第1回:登記できた=合法、ではない

登記はスタート地点にすぎません。
登記が通っていても、

  • 事務所として使ってよいか

  • 許認可・業法に適合しているか

まではチェックされていません。

「登記できたから安心」という思い込みが、
後の行政指導・事業停止につながるケースは少なくありません。

第2回:普通のオフィス感覚が通用しない業種

貸金業、人材紹介、建設業、外国人雇用など、
業法が絡む業種では、

  • 専用性

  • 管理体制

  • 実態の明確さ

が強く求められます。

「普通の事務所」という感覚のまま進めると、
許認可段階で止まることになります。

第3回:賃貸借契約を軽く見てはいけない

実務で最も多いのが、
賃貸借契約が原因で詰まるケースです。

  • 使用目的制限

  • 第三者使用の禁止

  • 転貸禁止

これらは形式的な条文ではなく、
実際に行政や金融機関が重視するポイントです。

第4回:「実態がない会社」と判断される瞬間

行政が見ているのは書類だけではありません。

  • 表札

  • 郵便物

  • 電話応対

  • 常駐者

つまり「人が働いている痕跡」です。

登記も契約もあっても、
実態が伴わなければ「名ばかり本店」と判断されます。

第5回:グループ会社だから大丈夫、が一番危ない

グループ会社であっても、
法律上は完全に別法人です。

名義と実態が混在すると、

  • 許認可の前提崩壊

  • 行政説明不能

  • 金融機関の信用低下

といったリスクが一気に顕在化します。

5回を通して言えること

問題の本質は、
「違法かどうか」以前に、

第三者に説明できる体制かどうか

という点にあります。

行政・金融機関・取引先に対し、
胸を張って説明できない構成は、
いずれどこかで止まります。

次は「場所」の問題へ

ここまでで、
「誰が」「どこで」「どの名義で」
事業をしているのか、という整理が重要だと見てきました。

次回は、
場所の問題の代表例である
「バーチャルオフィス・名ばかり本店」
を取り上げます。

 

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【第5回】

「グループ会社だから大丈夫」が一番危ない

――名義と実態のズレが企業リスクになる瞬間

 

これまでの回で、
登記・業法・賃貸借契約・実態
それぞれがズレたときに起こる問題を見てきました。

 

今回は、それらが一気に絡み合って起きやすい典型例
「グループ会社だから大丈夫でしょう?」
という判断についてお話します。

企業から本当によく出る一言

実務での相談で、非常によく聞く言葉があります。

 

「同じ代表です」
「グループ会社なんですが」
「実質的には一体運営です」

 

経営感覚としては、自然な発想です。
しかし、法務・行政の世界ではまったく別の評価がされます。

グループ会社でも「別法人」は別法人

 

まず大前提として、
グループ会社であっても、法律上は完全に別の法人です。

  • 名義

  • 責任

  • 許認可

  • 業法上の義務

これらは一切共有されません。

「中の人が同じ」
「実態は一体」
という事情は、原則として考慮されません

 

絶対ダメです。

 

人材紹介と人材派遣など大丈夫な例ももちろんありますが、場所以外の他の要件をしっかりする必要があります。

実際にあった相談事例

ある企業グループで、

  • A社:貸金業登録あり

  • B社:別事業会社

という構成でした。

A社の事務所内にB社を登記し、電話・受付・執務スペースも共用。

 

経営側としては、
「グループだし、効率的で問題ない」
という認識でした。

 

しかし、貸金業の更新時に、

「この事務所、他社も使っていますよね?」
「業務区分はどうなっていますか?」

と指摘を受け、
説明・是正を求められることになりました。

以前は緩かったこともあるかと思いますし都道府県による違い、担当者による違いはもちろんあります。

ただ、非常に難しいとお伝えしています。

 

行政が警戒するポイント

行政が警戒するのは、次の点です。

  • 責任の所在が曖昧になる

  • 利用者保護が弱くなる

  • 立入検査・指導が形骸化する

特に金融・人材・外国人関連では、


「どの会社が、どこで、誰の責任でやっているのか」
 

が明確でない状態を強く嫌います。

最近の法改正で厳しくなっている領域もあります。

 

名義と実態がズレると起きること

グループ会社でありがちなのが、

  • 登記名義はA社

  • 実際の業務はB社

  • 契約書は代表個人

といった、名義の混在です。

この状態になると、

  • 許認可の前提が崩れる

  • 行政説明が通らなくなる

  • 金融機関からの信用が下がる

といったリスクが一気に高まります。

「今まで問題なかった」は理由にならない

ここでもよく出るのが、

 

「これまで何も言われませんでした」

 

という言葉です。

しかし、更新・立入・トラブル発生時に初めて
問題が表面化するケースは珍しくありません。

 

むしろ、
 

「指摘されていない=見られていないだけ」
 

ということも多いのが実情です。

経営者が持つべき判断軸

グループ会社運営で重要なのは、
効率よりもまず、

「第三者に説明できるか」

という視点です。

  • 行政

  • 金融機関

  • 取引先

に対して、

 

「なぜこの体制なのか」
「責任はどこにあるのか」

 

明確に説明できる状態でなければなりません。

行政書士の役割

この手の問題は、

  • ダメ/OKの単純判断

  • 条文だけの説明

では解決しません。

 

実態・契約・許認可・業法を整理し、
「どう組み直せばリスクを下げられるか」
を一緒に設計する必要があります。

グループ会社だからこそ、
最初に整理しておかないと、
後からの修正は大きなコストになります。

次回予告

次回【第6回】では、
「バーチャルオフィス・名ばかり本店の落とし穴」
について、

  • どこまでならOKで

  • どこからが危険なのか

を実例ベースで解説します。

 

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【第4回】

行政はどこを見て「実態がない会社」と判断するのか

――形式よりも重視される“現場のリアル”

 

これまでの回で、
 

「登記できた=問題ないわけではない」
「業法が絡むと普通の感覚が通用しない」
「賃貸借契約で止まるケースが多い」
 

という話をしてきました。

 

では、行政は実際に何を見て判断しているのか
今回はその中でも、企業が最も見落としがちな
「実態」のチェックポイントについてお話します。

行政が見ているのは“書類”だけではない

企業側はつい、

  • 登記はある

  • 契約書もある

  • 許可申請書も整っている

という「書類面の整合性」に目が行きがちです。

しかし、行政の視点はそこだけではありません。
特に立入検査や更新審査では、

「この会社、本当にここで事業をしているのか?」

という一点を、非常にシンプルに、かつ厳しく見ています。

実際に見られる具体的なポイント

実務でチェックされやすいのは、次のような点です。

  • 表札・社名表示があるか

  • 郵便物が継続的に届いているか

  • 電話が会社名で応対されているか

  • 従業員が実際に常駐しているか

  • 机・PC・書類などの執務環境があるか

つまり、
「人が働いている痕跡」
があるかどうかです。

実例:登記も契約もあるのに「実態なし」とされたケース

ある会社が、
別会社の事務所内にスペースを設け、本店登記をしました。

  • 賃貸人の黙認あり

  • 登記完了

  • 書類上は問題なし

しかし、立入確認の際、

  • 表札がない

  • 郵便物は別会社名義

  • 電話も共用

  • 常駐者がいない

という状態でした。

結果、
「名ばかりの事務所」
と判断され、
業法関連の手続が一時ストップしました。

このようなことは非常に多いです。

 

実際手続きを進めていく中で発覚して修正を求められることが多いのですが、常にそのような対応がされるというわけではありません。

 

なぜここまで“実態”が重視されるのか

理由は単純です。

行政にとって重要なのは、

  • 責任の所在が明確か

  • 監督・指導が可能か

  • トラブル時に対応できる体制があるか

という点です。

実態のない事務所では、

  • 誰に指導すればいいか分からない

  • 立入検査が形骸化する

  • 利用者・取引先の保護ができない

こうした問題が生じます。

だからこそ、
「実際にそこに会社が存在しているか」
が厳しく見られるのです。

 

バーチャルオフィス的発想は要注意

企業側からよく出るのが、

 

「郵便物だけ受け取れればいい」
「実務は別の場所でやっている」

 

という発想です。

一般的な事業であれば問題にならない場合もありますが、
業法・許認可が絡むと、この考え方は一気にリスクに変わります。

 

特に、

  • 貸金業

  • 人材系

  • 不動産関連

  • 補助金助成金(意外かもしれませんが)

では、
「実態=人と業務の存在」
が強く求められます。

経営者が自問すべきポイント

最後に、経営者として
ぜひ一度、自問してほしい問いがあります。

「行政担当者が突然来たとき、
この事務所を“自社の拠点”として説明できるか?」

少しでも不安がある場合、それは改善すべきサインです。

次回予告

次回は、
「グループ会社だから大丈夫」が通用しない理由」
をテーマに、

  • グループ内共用

  • 名義と実態のズレ

  • 行政が警戒するポイント

を掘り下げていきます。