エンディングノートは“遺言書の前段階”。情報の「見える化」が家族を救う

相続の手続きで家族が最も困るのは、


“財産がどこにあるかわからない”
“本人の希望がわからない”


という場面です。

遺言書があれば理想ですが、
実務上は 「エンディングノート」の方が家族の負担を減らす効果が高い こともあります。

エンディングノートが相続準備の最初の一歩になる理由

遺言書と違い、エンディングノートは法律文書ではありません。
しかし、その“法的でない”という特徴こそがメリットです。

  • 気軽に書ける

  • 修正しやすい

  • 家族に自分の考えを伝えられる

  • 生活情報・ネット情報を整理できる

相続の現場では、
法的な財産よりも、生活情報の方が家族を苦しめることが多いのです。

実際に家族が困る情報の例

  • ネット銀行のログイン情報

  • サブスクの解約方法

  • 保険証券の保管場所

  • 契約中のスマホキャリア

  • クレジットカードの種類

  • 借入の有無(家族が知らないケースは非常に多い)

これらは遺言書には書きません。
しかし、これらの情報が行方不明だと、相続手続きは数ヶ月遅れます。

行政書士として現場に入ると、
「本人しか知らない情報」が原因で手続きが止まる場面は非常に多いです。

エンディングノートに最低限書くべき項目

□ お墓・供養についての希望
□ 預貯金・証券・保険の一覧
□ ログイン情報(ID管理法も含めて)
□ 契約中サービスの一覧
□ 重要書類の保管場所
□ 親しい友人・連絡すべき人
□ 家族へのメッセージ

 

これらが整理されているだけで、
相続の負担は半分以下 に減ります。

 

次回は 「遺言書の誤解」と“絶対に作った方がいい人”の特徴 について解説します。

 

CCMOコンサルティング
徳川綜合法務事務所
行政書士 石川裕也

 

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写真は先日郡山で食べたラーメン、


なかなかよかったです。


私のブログはそれほど楽しくはないように思います。


ただ何かの役には立つだろうとは思いながら書いています。



セミナーなどではちょっと変わったネタ含めて色々話すこともあるので楽しんでいただけるとは思いますが、、、



ちょっと意識します。


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家族で「祭祀(お墓・供養)」を話し合うことが、最初の相続対策になる

相続の準備と聞くと、
「財産をどう分けるのか」
「遺言書を書くべきか」
と、いきなり法律の話を想像しがちです。

しかし実際には、
 

相続トラブルの火種は“もっと日常の場所”で生まれています。
 

その最たる例が、前回のブログでも触れた「お墓」と「祭祀承継」の問題です。

特に現代は、家族構成・生活環境・宗教観が大きく変化し、
“誰が守るのか”という役割が自然に決まらない時代です。

なぜ相続前に「お墓の話」が必要なのか?

理由は明確です。
祭祀は民法上「相続財産とは別枠」であり、特別な権利として扱われるからです。

・誰がお墓を引き継ぐのか
・墓じまいをするのか
・永代供養にするのか
・改葬するならどこへ移すか

これらは、法律・宗教・家族の事情が入り交じるため、
“相続が起きてから相談する”のでは遅い場面が本当に多いのです。

行政書士として相談を受けていると、
「お墓の方が財産より揉めた」という家庭を何度も見てきました。

話し合いは「明確な答えが出なくても」意味がある

家族会議の目的は、
完璧な結論を出すことではありません。
むしろ、

  • 誰が何を大切にしているか

  • どこに負担が生まれているか

  • どういう供養の形を望むか

を共有することで、後の相続手続の軸が自然に整っていきます。

特に高齢の親世代は、
「聞かれたら話すけれど、自分からは言いづらい」という方が多いもの。
だからこそ、元気なうちに軽く触れるだけでも十分です。

今日できる最初の一歩

  • 自分の家のお墓がどこにあるか確認する

  • 先祖代々墓か、永代供養かを把握する

  • 祭祀承継者の候補を家族で共有する

  • 将来的に墓じまいが必要かどうか考える

これだけでも立派な「相続前の備え」です。

次回は、「エンディングノート」と“遺言書ではない情報整理”について解説します。