「偶然」とか、「裁定取引」的なもの ~T通信(10・7・21)~
NHKスペシャル「恐竜絶滅 ほ乳類の戦い」が教える「偶然」の力
7月18日、19日に放送された同番組は映画「ジュラシック・パーク」的な面白さがあり、長時間の番組だったが、飽きさせるようなことはなかった。
最も興味をひいたのは、それまで恐竜に散々な目にあっていたほ乳類(後に人類も派生する)が、なんらかの進歩をして恐竜に打ち勝ったのではなく、いん石の地球衝突という「偶然」によって巨大な恐竜が壊滅的な影響を受け、ごく小さかったほ乳類が生き延びたということであった。
地球とか生き物の、何億年にわたる「通史」をみてみると、まさに「偶然」という要素が、実に大きな影響を及ぼしているのだ。
必勝法は、「偶然」とか、「裁定取引」的なものとの上手なつきあい
巷には「株式必勝法」とか「競馬必勝法」の類は、何十年も前から、あふれかえっている。
そういう必勝法は、偶然を排して、理路整然と必然の道を説くものがほとんどだ。
そして、その実践の結果は、ほとんどは敗北の歴史だ。
「株式」は、流動性に厚みを持たせるということで、現在、「空売り」それも「naked short」というような手法が横行している。「naked」までいくと株価の動向に経済学的な説明は難しいのではないかと思われる。
「競馬」は、期待率 75%では「大数の法則」により長期的には儲けることは絶対に不可能だ。
ただ、こいったことにも、「偶然」にも、力と人気・評価のバランスが崩れることがある。
株式でいえば、「リーマン」直後、大変な急暴落になったが、空売りなら買戻しはあるはずだし、例えば、社員の自社株買いというものを考えれば、地道に買い続ける集団もあるので、非常な安値からいずれ一定の範囲に戻るとみるのは無理な話ではないと思う。
また、政策金利は超低空飛行していても、資金の流れに不都合が起こり、大きな金融機関でさえかなりの金利で社債(劣後債)を発行するようなことも起こる。
リスクをどうみるかだが、好機到来と考えもありうる。
競馬でいえば、例えば、世界的に「無敗の三冠馬」の三冠達成後の初戦は敗れるいうデータがあるが、力と調子と人気のバランスが崩れやすいケースで、これは非常に説得力ある話だ。
されど、その場の当事者となると、無敗を続けてほしいという人情もあり、敗北を予想することは難しい。
それに、こういう「裁定取引」的なものを狙うといっても、こういうケースは精々20年に一度程度のことだ。
「偶然」 この厄介で、おもしろいもの
「偶然」思わぬ好機が到来した。あるいは、ピンチに陥った。
そういうことにどう対処するかは、人生の醍醐味のひとつでもあるように思える。
しかし、教科書では、「偶然」とか「裁定取引」」的なものが説かれることはまずないと思うので、結局、各人が試行錯誤しなければならないことのようだ。