ネイサン・ロスチャイルドの話 ~T通信(10・7・18)~
ネイサン・ロスチャイルドは「売り」から始めた
1815年、大陸のワーテルローでの戦いで英国がナポレオンに勝利し、いち早く、ひとりその情報を得たネイサン・ロスチャイルドは、勝利で上昇が見込まれる英国債を素直に「買い」にいかずに、「売り」から始めた。
他の相場参加者がそれをみて、英国敗北と読み間違い、売りに追随し、暴落したところで、ネイサンは猛烈に買いまくった。
その結果、資産はなんと 2,500倍に増えたという話もある。
このときの情報伝達に伝書鳩が使われたの使われなかったなど、いろいろ伝説はあるが、始めは「売り」で国債を暴落させ、その後、安値で買いまくったという話はどの本でも共通しているので、確かな話だと思う。
素直に買いから入ったとしても、それなりの利益は得られたのではないかと思うが、莫大な資産をつくり上げる人間というのは、こういう精神不安定なはずの場面で、冷静にワンテンポおいて、人の裏をかくというような芸当ができる人種なのかと、つくづく感心してしまう。
そういうような行動は、実際、その場で当事者になってみると、なかなかできないことだと思う。
ネイサン・ロスチャイルドは調子に乗って、失敗することもなかった
また、こういうかたちで大儲けをしてしまうと、調子に乗ってしまい、何年後かに大失敗をやらかすのが、人の常と思うのだが、ネイサンはそういうこともなかった。
例えば、ジェシー・リバモアという米国の大相場師は、あの大恐慌の際、空売りで大儲けしたが、結局、その後10年ほどしてピストル自殺するような破目に陥った。
まあ、こういう話が普通にありえるところだと思われる。
だから、ネイサンのようにひと芝居打って大成功し、その後、大失敗しなかったという話は、普通では非常に難しいことだと感じる。
まあ、長い歴史には、こういうこともたまにはあるのだということで、今回分は終わります。