昨日は夏休み用の最後の1日を消化に充てました。

いやいや、ラ・マンチャの男を見る為に休んだんです。

帝劇のミュージカルは平日午後の部は
大概が6時半からの開演、
終業後に大急ぎでかけつければなんとか間に合いますが、
ラ・マンチャの男は6時開演。

無理、絶対無理!

時間よく見てチケット取ればよかった、
でも、平日なら最前列が取れたんですよ、隅っこだけど。
土日だと1階の後ろも後ろ。真ん中だったけど。

あなたならどうします?
平日最前列隅っこと
土日後ろの真ん中。

取ろうと思っても取れないですよ、最前列は。
前者を取るでしょう、
でも、時間が…

早退するか休むしかありません。

休みました。

しかし、昨日はですね、
再びひどい頭痛に襲われてまして

 もう何なんでしょうねえ!
 今回は原因がまったくわからない!
 わかっているのは、
 毎年10月に体調を崩すということです!

まったく動けませんでした。

どうしよう、もう絶対無理。
しんどい、気持ち悪い、頭痛い、
薬飲んでもあまり効かない…

でも、行かないと絶対後悔する。

…チケット代もばかにならない(ノД`)

ぎりぎりまで悩んで、行くことにしました。



閑話休題

ラ・マンチャの男は、私にとって特別な作品です。

いや、見たのは昨日が初めて。
映画も原作もまーーったくのノーチェック。

調べてみたら…

やだー、ピーター・オトゥールが主役だったの???
おいおいー、なんで今頃気づいたの!
けど、映画はソフィア・ローレンのイメージが強くて
その他の出演者は影が薄くないですか?
で、ソフィアとなると、どうしても
肉感的なイメージが先行してしまって興味もてなかったんですよ。

話を戻そう。

私が学生だった頃、
イージーリスニングの分野に
映画音楽というものがありました。

いや、今もあるとは思うんですが、
正面切って「映画音楽好き! よく聞いてる!
サントラチェックしてる!」って言う人
今時はあまりいないでしょ。

映画音楽はわりと好きでしたので
旋律だけは知ってました。
でも曲名とタイトル、映画名までは知らなかった、
つうか、興味なかった。

あれは母がまだ存命中で、
最後の入院をする直前だったと思います。
すでに具合がかなり悪く、寝たきりでした。

癌だったんですね。

たまたま見ていたNHKの特集で、
癌に罹患した、癌専門医の生涯を放送してました。
当時、癌は告知する病気ではありませんでした。
数多の患者に告知し、病気をよく知る医師が罹ってしまった。
自分の命運も誰よりよくわかるわけです。

彼は、自分の病歴について詳細な記録を残しました。

パソコンやワープロ、ホームビデオなんかなかった時代です、
記録媒体は手書き、そして録音テープでした。

具合がどんどん悪くなり、
声も衰え、ろれつが回らなくなる様子を聞いて
感情移入してしまった私、
涙が止まらなくなって困った。

あまりTVとかで泣く方ではないのに、
どうしよう、
母は自分の病名を知りません。
私は知ってまして、状態がよくないのもわかってました。

医師と同じ道を母も確実にたどる、
それがわかっていて涙が止められない。
悟られたらどうしよう。

その番組の終盤にかかっていたメロディーラインを聞いた母、

「「ラ・マンチャの男」の「見果てぬ夢だよ」」

彼女は映画がだーーいすきで、
独身時代は山のように見ていたそうです。
TVの洋画劇場は必ずチェック、
だから知っていたのだと思います。

以来、見果てぬ夢は、特別な曲になりました。

けど、映画を見ようとか、
ミュージカルを見ようとかは思わなかったのですね、
今年になるまでは。

ま、上演してても終わってから気づいた、ばかりで。
興味ないときはそんなもんです。

けど、今年は製作発表時から小耳に挟むようになり、
主演の松本幸四郎氏の年齢を考えても
今後は難しいかも?(失礼なやつだな)と思い
見に行くことにしました。

作品については…多くは語りますまい、
事前に予習してなくてホントに良かったと思える
2時間10分でした。

一つの役を長い年月演じ続けると
まったく同じ舞台にはなりようがないでしょうし、
見る側もその時々によって解釈が変わったり
印象も変化します。

平べったい言い方になっちゃいますが、
名作と呼ばれ、残り続ける作品は
その時々で受ける印象や感慨が変わり、
また次も、その次もと
見る人を引きつけてやまないものだと思います。

今回の観劇は、見果てぬ夢を聞きたかった。
長年の夢が叶いました、大変満足しています。

けど、ここで終わりたくない夢なので、
もう少し、夢の世界を漂います、
そうですね、映画を見直したりとか、
次の再演を待ったりしてね。


で、ネタバレにならない範囲で…

最後の最後。

アンコールで原曲で1曲、歌われるのであります、
見果てぬ夢を。
前振りの台詞ももちろんつけて、
当然原語で。

これがすんばらしかった。

つい錯覚してしまったのね、
座席が最前列の下手の方だったから、
立ち位置的にこっちの方面を見てるのは
演出上のことなのだとわかってはいても…

ああ、私の為に歌ってくれてる!

私は、王女ドルシネア!

……と思ってしまったのです、罰当たりにも(大笑)
誰が王女やねん ^_^;

でも、同じように思ってるのは私だけではないと思います、
そうです、舞台芸術って、
役者さんとの距離がめっちゃくちゃ近いから、
この「私だけ見てくれてる!」という錯覚も楽しいんですよね。


松本幸四郎さん、
NHKの黄金の日々で主演されてた(ふ、古!!!)
染五郎さんだった頃からのファンです。
ファンといいつつ、舞台を見たのは昨日が初めてでしたけど、
素晴らしい時を共有させて下さってホントにありがとう!
お体に気をつけて、千秋楽までお客さんを
楽しませてくださいね!

また舞台、拝見しに行きます!