今週、バレエのお稽古でご一緒していた方に誘われ、
二期会の公演に行きました、ってのは
先日blogに書きました。

芸術系のお稽古ごとをやってると、
思わぬ方とお知り合いになるものです。
ご本人は元々声楽家で、
海外留学の経験もあり、
研究者としての実績もおありだと知ったのは、
二期会のパンフのプロフィールを読んでから。

経歴もさることながら、
バレエのお稽古の時の集中力、
リハーサル時の取り組みは
今までお稽古をいっしょにした方々とは
明らかに違ってました。
バレエ好きな人でも、あんなに熱心に
躍り込みはしないです、
諸事情あってその方は発表会に出られず。
本番で輝く姿を見たかった。

でも、公演の彼女も輝いていたのです。
脚本やナレーションもこなす彼女、素敵でした。
公演直後の笑顔は最高でした。

さて、テーマに選ばれたのが、
声楽家としての草分け的存在として知られる三浦環。
三浦環と言ったら、クラシック聞きかじりの私でも
とりあえず知っている、
マダム・バタフライ。
プッチーニの蝶々夫人で著名です。

で、蝶々夫人の曲も多々使われていたのですけどね、
あらすじは知ってはいたものの、
ピンカートンにめっちゃくちゃ腹立って仕方無いんです。

最初からわかっていることをなんで人は、男はやらかしてしまうのだ。
後悔して遁走するのは勝手だけど、
引き受ける気は最初からなかったってことなのかい。

一度、通しで見てみなければならない!
でないと、あらすじで知ったかぶりになって
作品を理解できてないことになってしまう!

ホントは字幕付きオペラ公演に行きたかった、
けどそう都合良く全幕ものオペラに行けるわけありません。
で、DVDを入手、今日、通しで鑑賞しました。

プッチーニ:歌劇≪蝶々夫人≫ [DVD]
クリエーター情報なし
ユニバーサル ミュージック


オペラ公演とはちょっと違ってまして、
編集された映像作品と言えばいいですかね。
もちろん出演者は一級のアーティスト、
指揮はカラヤンだし。
カラヤンが関わると細目までチェックが入ると聞いてますので
外れはないだろうと踏んでのことです。

日本は長崎を舞台にした本作、
日本人である我々にとって、
西洋側が見た日本を題材にした演出に
違和感感じるとそこで世界観に入り込めなくなりますから、
差し引いて見なければ本質を見失う。

幸い、「これ変だろ!」の突っ込みどころは満載だったけど
世界観に入り込め、いずれ気にならなくなる突っ込みどころ。
本物は違うんだねえ、と感心

通しで140分の作品世界を満喫しました。

で、ピンカートンの心、蝶々さんの心がわかったかというと
あらすじだけでは見えないところが見えてきた、ってところまでは
咀嚼できたと思ってます。

いや、これは演じる側と演出の解釈によっても
影響を受ける部分だから、若干差し引いてみなければいけないけど、
あれだね、人って、
「だから言っただろう」と賢しげに言う外野も
「その時になったら考えるよ」と言う当事者も
どっちもどっちですな。

結果の深刻さに誰も気付けないから悲劇が起こる。

その意味では、ピンカートンもシャープネスも同列だわ。

一番の大人は、被害者は、愛の意味を取り違えていないのは誰なのかしら。

ピンカートンの本妻かな、と。

今日のところは思った、カラヤン指揮の蝶々夫人の鑑賞短観。

きっと他の演出で見ると印象は変わるんだろうな。

舞台芸術は、演者や演出によってがらりと変わるから面白いです。