~彼女からの手紙~
 
 
 
 
 
 
 
大好きなあなたへ
 
 
私が死んでしまうこと
黙っていてごめんね。
悲しい思いをさせるなら
もっと早くに別れを
告げれば良かったと
思うこともあったの…
 
 
あなたからはたくさんの
生きる希望をもらった。
 
 
何事にもまっすぐに貫いて
それでいて優しくて
何でも一人でやってしまう
弱音をはかない
あなたを見習って
 
 
辛いと思って見てきた
現実がもっと生きたい
って思えるようになった。
 
 
たくさんあなたを見ていたい
もっと話していたい、
2人で笑いあいたい
と思うようになったの。
 
 
弱音やわがままな事
言わないように、
耐えることだって出来た。
 
 
もし私をなくして
悲しんでいたら、
もう悲しまないで大丈夫!!
夢を失っているなら
私がその夢まで
つれてってあげるよ。
 
 
泣かないでね。
いつも笑っているあなたを
好きになれて本当に幸せ。
 
 
野球にまっすぐで
泥だらけの顔で
私に笑うあなたは
甲子園の砂がよく似合う。
 
 
ありがとう。
大好きだったよ。
きっとあなたなら出来る。
大丈夫。
甲子園にいってらっしゃい
 
 
 
 
 
彼女が書いてくれた
手紙は弱々しい文字だった
 
 
自分が死ぬとわかって
一生懸命書いてくれたから…
 
 
甲子園のための
準備練習がはじまった。
甲子園にいく喜びや
興奮があってもぽっかり
穴が開いた気持ちだった。
 
 
そんなとき、
俺の背中をポンとたたいた
キャプテンが隣に座った。
キャプテンとは小学生から
ずっと一緒に野球やってきた
幼なじみで一番仲が良かった
 
 
 
「甲子園やっといけたなぁ」
 
 
グローブを磨いて話した。
 
 
「落ち込む時間もあらへんな。」
 
 
俺は無言で頷いたり
笑ったりした。
 
 
「俺は甲子園、お前の彼女が
つれてってくれたと思う。
だから感謝して甲子園で
全力プレーしてやりたい。
彼女もお前を
甲子園で待ってるやろ。
お前は一人やないから、
俺達がおるんやから
抱え込まなくていいんや」
 
キャプテンが一生懸命に
話し掛けてくれてるのが
本当に嬉しかった。
 
 
彼女の手紙を
何回も読んで泣いた。
 
 
 
そして俺達は兵庫に飛んだ。