~大好きな彼の夢~
 
 
 
 
 
 
 
 
甲子園出場が決まったのに、
つれていく彼女が
この世にいないんじゃ
意味がなかった。
 
 
彼女の死ほど
直視できないものはなかった。
 
 
彼女の姉から
一冊のノートを預かった
彼女が入院中に
書いたものだと言っていた
そこには彼女の字で
こうかかれていた。
 
 
 
 
 
今日、彼の最後の
夏の大会が始まった。
私は入院して4ヵ月です。
私はもう命が長くないようで
体重も一気に
8kgも痩せたちゃった(笑)
 
 
生きることがこれほど
辛いと思ったのは初めて
 
 
でもこんなに
もっと生きたい
と思ったのも初めて。
そう思わせてくれたのは
お父さん お母さん
お姉ちゃん
 
 
そして愛する彼。
 
 
普段は照れ臭くて
言えないけど
お父さんとお母さんは
私の命が短い事を隠さずに
私に打ち明けてくれた。
一緒に頑張ろうって…
 
 
二人の子供に生まれて
本当に良かった。
お姉ちゃんは、
私が片想いしている彼に
告白するときにたくさん
相談にのってくれた。
いつも悩みを聞いてくれた
お姉ちゃんが大好きです。
 
 
そして何より愛しい
と思ってしまうのは彼。
野球が大好きで、
いつもクラスの男子と
はしゃいどったり
いつもニコニコしてる。
 
 
彼の笑う顔が好き。
 
 
初めて彼の野球しとる姿を
見たのは全校応援の時で
負けてしまっても
彼だけ笑っていて、
泣き崩れる先輩を
なだめてる姿に
一目惚れだった。
強くて優しくてまっすぐ。
 
 
私は彼が笑顔なら
それだけで嬉しい。
 
 
甲子園いきたいなぁ
いつか彼が
 
 
「野球部やめるから
甲子園つれてってやれん」
 
 
て言われたときは
正直悲しかったなぁ。
でも本心じゃない
って分かってた。
 
 
甲子園は絶対に
連れてってくれる
約束は絶対守る男やから。
でももし彼が
諦めそうなったら、
私が連れてってあげる。
 
 
大好きな彼の夢やから。