~最後の夏~
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
夏、とうとう俺たちの
最後の夏がやってきた。
絶対彼女を甲子園に
つれてったる。
彼女はまだ入院している。
応援にはこれないけど
彼女が一生懸命
作ったお守りをもっている。
 
 
大丈夫!!
絶対に甲子園にいける!!
 
 
仲間達もこの夏まで
辛い練習に耐えてきた。
もちろん俺も彼女の言った
言葉に励まされて
レギュラーになる事ができた
 
 
開会式、
俺は優勝旗返還をじっとみた
絶対あれがほしい。
あの優勝旗をもってみたい。
 
 
初戦、
いきなりの強豪校だった。
でも負ける気がしない。
打てる!!そう思って
バッターボックスに立つ。
 
一球目、ストレートボール
2球目、カーブのストライク
3球目、打つ!!
 
 
思いっきりフルスイングした
観客席の声が聞こえた。
3ランホームラン!!!!
人生でこんなに
気持ちいいホームランを
打ったことがなかった。
結果は俺たちの勝利!!
彼女に一刻も
早く知らせたかった
ミーティングも終わり
今日のホームランボールを
もって病院へ急いだ。
 
 
 
ドアをあけると
 
 
『初戦突破おめでとぅ!!』
 
 
久しぶりに
立っている彼女がいた。
 
 
「もう立てるん?!」
『なんとかね』
 
 
俺はホームランボールを
彼女にプレゼントしたら
彼女は笑ってくれた。
 
 
「今日から強化合宿に
はいるけぇ、しばらく会えん
けど早く身体治して
応援にこいよな」
 
 
彼女を抱き締めていった
でも何も答えなかった気がした
試合もどんどん
順調に勝ち進んでいった。
 
 
そしてとうとう…
決勝戦まで辿り着いた。
ここで勝てば県代表として
甲子園にいける!!
 
 
彼女を甲子園に
つれていってあげる。
みんな気持ちは一つだった。
 
 
去年の夏より、
今年の春よりも
仲間達はこの一つの夢をもって
一緒に戦ってきた。
 
 
彼女からのお守り、
母ちゃんからのお守り。
帽子の唾にかいた
「一心不乱」の文字。
絶対勝ってやる!!
試合は幕をあげた。